市況
12月のグローバル債券市場は、主要国の国債利回りは低下しました。米国は、低調な経済指標や原油価格の下落を受けて、米国債利回りは月初に低下しました。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した金利・経済見通しで2024年の利下げが示唆されたことを受けて月半ばに利回り低下の勢いが強まり、10年国債利回りは4%を下回る水準へと低下しました。月末にかけても低下基調を維持し、月を終えました。欧州は、インフレ率の顕著な低下等を受けて、ドイツ国債利回りは低下しました。月半ばの欧州中央銀行(ECB)理事会では政策金利の据え置きが決定され、ラガルド総裁は利下げを議論しなかったと述べましたが、経済活動の弱さを示す指標等を受けてドイツ国債利回りは一時2%を下回る水準まで低下しました。英国では、11月の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が約2年ぶりの低水準となったことや、7-9月国内総生産(GDP)改定値が前期比0.1%減となったこと等を受けて、中期債を中心に利回りは大幅に低下し、低下幅は米欧を上回りました。
12月の国債市場では、米国10年債の利回りは4.33%から3.88%、ドイツ10年債の利回りは2.45%から2.02%、英国10年債の利回りは4.18%から3.54%に低下しました。クレジット市場については、グローバル投資適格社債の対国債超過リターンは0.42%と、国債をアウトパフォームしました。
パフォーマンス
12月の超過収益は-0.11%となりました。
金利戦略は、グローバルに利回りが低下したことから、米英を中心とした全体のデュレーションのO/W(利回り低下を見込むポジション)がプラスに寄与しました。また、ブラジルのO/Wもプラスとなりました。一方、スティープ化ポジションはカナダを中心にマイナスに寄与しました。
通貨戦略は、豪ドルの対米ドルでのO/Wがプラスに寄与した一方、日本円の対スイス・フランでのO/Wはマイナス寄与となり、全体での寄与は小幅となりました。
クレジット戦略は、欧州の投資適格社債のO/Wが奏功したほか、カバードボンドの保有もプラスに寄与しました。
投資行動・投資方針
マクロ経済シナリオ分析では、「ソフトランディング*1」の実現可能性が高まり、一方でハードランディング*2の実現可能性が相対的に低下しています。FRBはよりハト派的な姿勢に転じ、2024年中の0.75ポイントの利下げの可能性を示唆しています。世界的な製造業サイクルの好転の兆しが少しずつ見えてきたことを背景に、ソフトランディング・シナリオの実現可能性を70%に引き上げましたが、同時に市場による価格への織り込みもここ数週間で進んだことについても認識しています。米国経済は力強さの兆しを見せており、特に労働市場では底堅い雇用増加が失業率を数ヵ月ぶりに押し下げました。インフレ率も鈍化が継続していますが、財はディスインフレが進む一方、サービス業は依然高い水準にあります。欧州と英国経済の見通しについてはしばらく悲観的な見方を継続してきましたが、金融引き締めが経済に与える影響のピークが過ぎ去った可能性を示すデータが出てきたため、現在はより中立的な姿勢に移行しています。ハードランディングのリスクは依然として存在しています。2024年の世界的な景気後退をまだ否定することはできないものの、以前より可能性が低くなっていることは確かだと考えます。足元の金融環境の緩和が今後数ヵ月の企業活動をサポートすると見込まれます。リスクの反対サイドでは、ノーランディングのシナリオも可能性として残っています。特に、米国の中小企業が再び物価上昇圧力に見舞われていることを示唆する最近のデータを踏まえると、現在のディスインフレ傾向が反転する兆しが出てくるかどうか、引き続き注意深く見守る必要があります。
このような見通しに基づき、金利戦略では、全体的なデュレーションについては中立とする一方、イールドカーブのスティープ化への選好を維持し、米国、英国、カナダでのポジションを継続いたします。イールドカーブのスティープ化は、上記のマクロ見通しを、より合理的なバリュエーションで反映させることができると考えます。クレジット戦略では、証券化商品やカバード・ボンド等高クオリティながら同等の格付けの国債に比べて相対的に高い利回りを提供するセクターを引き続き選好します。社債では、米国対比で欧州の投資適格社債を選好いたします。通貨戦略は、FRBの姿勢を鑑み、米ドルは若干の弱気方向でみております。
*1:ソフトランディングは、グローバル経済が緩やかに減速し、市場も緩やかな景気後退を織り込むシナリオを指します。このシナリオにおいて想定する主な市場の動きは、金利低下、米ドル小幅下落、スプレッド堅調となります。*2:ハードランディングは、グローバル経済が急激に悪化し、市場のリスク許容度が急低下するシナリオを指します。このシナリオにおいて想定する主な市場の動きは、金利低下、米ドル上昇、スプレッド軟調となります。*3: ノーランディングは、経済の堅調さが継続、インフレは鈍化も目標は上回り、利上げが長期化するシナリオを指します。このシナリオにおいて想定する主な市場の動きは、金利上昇、スプレッド小幅軟調となります。
本資料は、情報提供を目的としてシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成した資料であり、いかなる有価証券の売買の申込み、その他勧誘を意図するものではありません。弊社はお客様との投資一任契約の締結という形態にて機関投資家のお客様に運用戦略をご提供させて頂きます。本資料に示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。本資料は、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。本資料に記載された特定のファンドに関する情報は、本資料でご紹介する運用戦略等を説明するための参考情報として記載したものであり、当該ファンドの募集その他勧誘を目的としたものではありません。本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。本資料を弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。
投資一任契約に基づいた運用を前提とするお客様へ 本資料に記載されている特定のファンドに関する情報は、本資料でご紹介する運用戦略等を実現する際に投資一任契約口座にて投資対象となりうる有価証券を例示することを目的としたものであって、弊社が当該ファンドの募集その他勧誘を目的としたものではありません。ご契約に際しては、必ず契約締結前書面をご熟読ください。
【費用等について】弊社が投資運用業としてお客様に資産運用サービスをご提供する際には、運用報酬の他、組み入れ資産の売買手数料、保管費用等をお客様にご負担いただきます。運用報酬及びその他の手数料、費用等は、契約の種類、契約資産残高、運用手法、及び運用状況等により異なるため、あらかじめその料率やその上限額等を表示することはできません。
【リスクについて】 受託資産の運用には、組み入れ有価証券等の価格変動リスク(ファンド等かかる有価証券等がさらに組み入れている対象物の価格変動リスクも含みます)、金利や金融市場の相場の変動リスク、十分な流動性の下で取引が行えない市場流動性リスク、及び株式やその他の有価証券の発行体の信用リスク等の影響を受けます。また、外貨建ての資産は、為替変動リスクの影響も受けます。また、デリバティブ取引を利用する場合、取引開始時に差し入れた証拠金の額を上回る損失が生じるおそれがあります。また証拠金の額や算出方法は取引の内容等により異なるため、取引の額の当該証拠金の額に対する比率は表示することができません。従って、これらの影響により組入れ資産の価格が変動して損失を生じ、投資元本を毀損する可能性があります。受託資産の運用によって生じた損益はすべてお客様に帰属します。
Topics