市況
9月のグローバル債券市場は、主要国の国債利回りは低下しました。米国は、労働関連の指標を受けて大幅利下げの観測が強まり、月前半に米国債利回りの低下が進みました。月半ば過ぎの連邦公開市場委員会(FOMC)では0.5ポイントの利下げが決定されましたが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見において、今回の利下げ幅について今後も継続するペースだと想定すべきではないと述べました。なお、月後半は一部の経済指標が堅調だったこと等も影響し、利回りは上昇しました。月を通じては短期債を中心に利回りは低下し、イールドカーブはスティープ化しました。欧州では、米国債利回りの低下の流れが影響したほか、ユーロ圏景気見通しの悪化を受けて、追加利下げ観測が台頭し、ドイツ国債利回りが低下しました。英国は、イングランド銀行が政策金利を5%で据え置き、金融緩和を急がない考えを示したことから、英国10年債利回りの低下は小幅に留まったほか、超長期債の利回りは上昇となりました。
9月の国債市場では、米国10年債の利回りは3.92%から3.79%、ドイツ10年債の利回りは2.29%から2.13%、英国10年債の利回りは4.02%から4.01%にそれぞれ低下しました。クレジット市場については、グローバル投資適格社債の対国債超過リターンは0.35%と、国債をアウトパフォームしました。
パフォーマンス
9月の超過収益は-0.14%となりました。
金利戦略は、選別的なエマージング債券の保有がプラスに寄与したほか、欧州経済の弱気な見通しを背景として構築した欧州の対米国でのO/W (相対的な利回り低下を見込むポジション)がプラスに寄与した一方、フランスの対ドイツや対イタリアのO/Wや豪州のO/Wはマイナス寄与となりました。
通貨戦略は、中央銀行の姿勢の差異を捉える目的で構築した日本円の対スイス・フランでのO/Wは小幅にマイナスとなりました。
クレジット戦略は、米国モーゲージ債のO/Wが小幅にプラス寄与となったものの、欧州投資適格社債を対米国で選好する姿勢は、米国投資適格社債が相対的に堅調となるなかでマイナスの寄与となりました。
投資行動・投資方針
マクロ経済シナリオ分析では、先月に引き続きハードランディング・シナリオの実現可能性を引き上げました。
米国については、労働市場は現時点では依然として底堅いものの、今後悪化するリスクが増加したとみています。雇用の伸びは、以前は幅広い業種でみられていましたが、9月に発表された指標では一部の業種へと狭まってきました。また、民間部門の求人数は大幅に減少し、労働市場に対する消費者の信頼感は弱まっています。いずれの指標も絶対的な水準では悲観的な状況にはなく、雇用の伸びが鈍化している一方で実際の失業者数が低水準にとどまっていることは心強い材料として捉えています。しかしながら、労働市場は線形的な動きをしない傾向があり、実際の弱さが現れてから行動を起こすのでは手遅れになる可能性が高いと言えます。現時点でその深刻な状況にいるとは考えてはいないものの、以前よりは近づいてきているという認識です。そして、FRBが今後悪いニュースには強く反応する一方、好材料には対する反応は抑えめとなると市場はみています。つまり、債券市場にとっては中期的に追い風が吹いていることを意味していると言えるでしょう。
ハードランディング・シナリオの実現可能性が高まったのは、欧州、特に自動車セクターの見通しが悪化したことが要因です。製造業は欧州にとって特に重要であり、世界的な景気減速は特に大きな影響を与えます。さらに、需要の構造変化と競争力をめぐる個別の課題が背景にあることで、景気循環的な問題がより深刻ものとして表れています。サービス部門は健闘しているものの、財セクターからの逆風に耐えられるだけの勢いはないとみられます。
このような見通しに基づき、金利戦略では、デュレーションに対しては強気の見方をしています。地域別では、欧州経済への懸念を理由に欧州に対して強気の姿勢といたします。欧州中央銀行(ECB)は利下げを開始しましたが、慎重な姿勢を維持しています。今後、同地域のマクロ経済の軟化傾向が継続するにつれて、ハト派姿勢を強める可能性があるとみています。また、エマージング債券については、米国の利下げ開始を好材料と考え、選別的な保有を継続いたします。資産配分については、エージェンシー・モーゲージ債およびカバードボンドについて、選好を維持いたします。社債については、米国投資適格社債の弱気姿勢、欧州投資適格社債の対米国での選好姿勢をいずれも継続しています。
注記:ソフトランディングは、グローバル経済が緩やかに減速し、市場も緩やかな景気後退を織り込むシナリオを指します。このシナリオにおいて想定する主な市場の動きは、金利低下、米ドル小幅下落、スプレッド堅調となります。ハードランディングは、グローバル経済が急激に悪化し、市場のリスク許容度が急低下するシナリオを指します。このシナリオにおいて想定する主な市場の動きは、金利低下、米ドル上昇、スプレッド軟調となります。ノーランディングは、経済の堅調さが継続、インフレは鈍化も目標は上回り、利上げが長期化するシナリオを指します。このシナリオにおいて想定する主な市場の動きは、国債利回り上昇、クレジット・スプレッド小幅軟調となります。
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