市況
11月のグローバル債券市場は、主要国の国債利回りは低下しました。米国は、大統領選挙でトランプ氏が勝利したことを受けて、次期政権での政策によりインフレ圧力が強まる可能性が意識されたことから、米国債利回りは月前半に上昇しました。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)による0.25ポイントの追加利下げや、ロシアとウクライナを巡る地政学的リスク台頭のほか、投資家のベッセント氏の次期財務長官への指名により、次期政権における貿易・経済政策が穏健な方向になるとの期待がなされたことから、月下旬に長期債利回りを中心に低下の勢いが増しました。欧州では、トランプ次期政権の政策が域内経済の更なる逆風になるとの懸念や、軟調な経済指標を受けて欧州中央銀行(ECB)が迅速かつ大幅な利下げを実施するとの期待が高まり、ドイツ国債利回りは低下しました。英国は、月初は予算案を受けた利回り上昇の流れが継続しましたが、その後は米欧の動きに追随し、英国債利回りは月を通じては低下となりました。なお、イングランド銀行は0.25ポイントの追加利下げを行いました。
11月の国債市場では、米国10年債の利回りは4.28%から4.19%、ドイツ10年債の利回りは2.39%から2.09%、英国10年債の利回りは4.45%から4.25%にそれぞれ低下しました。クレジット市場については、グローバル投資適格社債の対国債超過リターンは0.32%と、国債をアウトパフォームしました。
パフォーマンス
11月の超過収益は0.02%となりました。
金利戦略は、米選挙後に構築した英国の対米国でのO/W (相対的な利回り低下を見込むポジション)はプラスに寄与した一方、月を通じて継続した英国の対欧州でのO/Wは、ドイツ国債利回りの低下幅が相対的に大きくなったことでマイナスに寄与しました。その他、インドネシアの寄与はほぼ中立となりました。金利戦略全体では小幅なプラス寄与となりました。
通貨戦略は、オプションを通じて構築しているユーロの対米ドルでのU/Wはプラスとなった一方、ブラジル・レアルの小幅なO/Wはマイナスとなり、通貨戦略全体では寄与はほぼ中立となりました。
クレジット戦略は、欧州投資適格社債を対米国で選好する姿勢は米国が堅調となる中でマイナスに寄与したものの、銘柄選択によるプラスが相殺したほか、米国モーゲージ債のO/Wが奏功しました。
投資行動・投資方針
米国では11月の選挙を受けて更なる財政緩和の可能性が出てきたほか、中国は急激な産業の減速に対応するため、金融緩和と共に財政支出による方策を取る方向で動きだしています。市場見通しへの影響としては、米国は経済が堅調ななかで財政緩和が実施される可能性があることから、ノーランディング・シナリオの実現可能性が高まると考えます。
米国経済は選挙前の時点ですでに堅調で、労働市場もバランスがとれており、インフレ率もFRBの目標水準を上回っているものの、改善方向に進んでいました。選挙前の経済状況はほぼ均衡に近い状態にあったと言えます。トランプ次期政権による政策の経済成長への影響については規模、タイミング、順序によって変わってくると考えられます。規制緩和と財政緩和と財政緩和は経済の下支えとなるとみられる一方で、厳格な移民規制と強制送還が行われた場合の負の労働供給ショックは、スタグフレーションを引き起こす可能性があります。関税も部門によって異なりますが、全体としてはグローバルな成長の重しとなると考えられます。インフレに関しては、予想されている新たな政策はいずれも上昇方向を指し示しており、インフレの暴走的な上昇は見込まないものの、中期的にインフレを低位に安定させるというFRBの課題の実現は難しくなる可能性があります。
欧州は、貿易環境の悪化とそれに伴うビジネスの不透明感から強く影響を受け、すでに低迷している見通しがさらに悪化するとみられます。財政政策の貢献が小さい場合、ECBは金融政策でより多くの支援を行う必要が出てくるでしょう。ドイツ連立政権の崩壊を受けて、総選挙が実施されることとなり、より景気刺激的な財政政策への扉を開く可能性もあります。英国では増税と財政抑制の必要性が取り沙汰されていたにもかかわらず、今後2、3年にわたる財政緩和の見通しが示されました。このような動きは、インフレ率を目標に戻すイングランド銀行の仕事を複雑にするとみられます。
このような見通しに基づき、金利戦略では、トランプ次期政権の政策はインフレ的となると見込まれていますが、米国債の割安度も高まったことから、大幅に弱気姿勢とすることは正当化されないと考えます。また、英国も予算案後に割安度が高まったとみており、強気といたします。通貨については、ユーロ圏の弱い経済見通し、グローバル通商環境の悪化、ECBがショックを抑制するためにより緩和姿勢を強める可能性等からユーロが対米ドルで弱含むとみています。資産配分については、バリュエーションを理由にクレジットへの見通しを弱めています。特に米国の割高感が顕著ですが、欧州に関しても見通しを引き下げています。その中で、エージェンシー・モーゲージ債については、バリュエーションの魅力度が高いとみて、選好を維持いたします。
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