アセット・アロケーションとパフォーマンス
出所:シュローダー・インベストメント・マネージメント(シンガポール)リミテッド。SISF Japan DGF – I share classの設定日2008年12月1日。上記のアセット・アロケーションは、買い建ておよび売り建てのポジションを相殺したネット・エクスポージャーを示しています。(四捨五入につき100%にならない場合があります。)上記は本運用戦略の代表ファンドであるルクセンブルグ籍Schroder International Selection Fund – Japan DGF I share class(設定日2008年12月1日)の情報です。ご参考として掲載するものであり、当該ファンドの取得の勧誘を意図するものではありません。当該ファンドは日本国内では販売されていません。過去の運用実績は将来の投資成果等を示唆あるいは保障するものではありません。
市況概況
4月の世界株式は下落しました。米国株式は、米国インフレ率が市場予想を上回ったことで米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始時期が後ずれするとの懸念が広がり、金利が上昇したことが重しとなりました。ユーロ圏株式も、FRBの早期利下げ期待が剥落したことがマイナス要因となり、下落しました。ただし、ユーロ圏においてはディスインフレが継続しており、欧州中央銀行(ECB)が6月に利下げを開始する可能性があります。日本株式は、大型銘柄や半導体関連銘柄の下落から調整する局面もありましたが、好調な企業決算や円安などが支援材料となり、その後は下げ幅を縮小しました。エマージング株式は小幅に上昇しました。中国株式の上昇が追い風となりました。債券については、米国インフレ指標の上振れ、米国経済が底堅さを示したこと等を背景に、高金利の状態が長期化するとの懸念が広がり、主要債券市場で金利が上昇しました。クレジットについては、ベース金利上昇を受けて下落しました。投資適格社債およびハイイールド債券市場ではスプレッドが低水準まで縮小しており、割高感が浮上しています。ただし、投資家の需要は減速傾向にある一方で起債額にも減少がみられる等、テクニカル要因は依然として支援材料となっています。そのほか、貴金属や産業用金属などは上昇しました。
主な投資行動
金ロングの一部売却
- 金価格上昇にを受けて金保有比率が上昇したため、投資開始時の比率に引き下げる目的で利益確定を行いました。
産業用金属ロングの構築
- 欧米では製造業の景気サイクルが好転しており産業用金属全般への需要が高まる可能性があるほか、中国ではカーボンニュートラル政策が推進されており、エネルギー分野等での変革に向けて主に銅需要が増加するとみて、恩恵を受けると考えます。
米金利上昇/米ドル高進行への耐性を強化
- 米国インフレ率の上振れを受けて、米金利が高い状態で維持され米ドル高を招くことを懸念しています。新興国債券ロングの一部削減に加え、ポーランド国債ロングの代替ポジションとして組み入れているPLNロングの保有比率を調整しました。そのほか、米10年国債ショートを追加しデュレーションを短期化しました。
株式エクスポージャーの調整
- 産業用金属の組み入れに伴い、リスク管理の観点から株式比率を引き下げました。世界株式と中国株式を一部売却したほか、英国株式のショートポジションを構築しました。
レラティブトレードの解消
- 韓国・台湾株式ロング/新興国株式ショートのポジションを解消:韓国・台湾株式は人工知能(AI)を巡る期待感の高まりを背景に堅調に推移していましたが、利下げ時期の後ずれ観測が重しとなることを懸念し、利益確定を実施しました。
- JPYロング/CHFショートのポジションを解消:4月末の日本銀行金融政策決定会合後の会見で植田総裁がハト派的な姿勢を示したほか、米金利が高止まりし、金利差が意識され円安が進行する可能性を考慮しました。
今後の資産配分と運用戦略
製造業の景気サイクルは好転の兆候を見せ、米国経済が景気後退を回避する可能性が高まっているため、直近数カ月において、株式に対する選好姿勢を高めました。経済が良好な状況にあることは引き続き株式にとって支援材料になるとの見方を維持していますが、「良いニュース」が金融市場にとっての悪材料となることを懸念し始めており、特に米国のデュレーションに対しては注意が必要だと考えています。米国債券市場では逆イールドの状態が続いており、米国デュレーションに対する選好姿勢を高めるためには、より明確な経済減速の兆候が必要になるでしょう。足元、米国経済がノーランディング(景気は加熱、インフレは再加速)に向かうリスクを懸念し、米国物価連動債ロング/米国債ショートのポジションを維持しています。クレジット資産については、米国投資適格社債のスプレッドは世界金融危機以降の最低水準まで縮小し、バリュエーションの観点で割高感が浮上しており、慎重な姿勢としています。そのほか、製造業の景気サイクルが好転の兆しを見せる中、産業用金属に対して強気の姿勢としているほか、通貨内では、FRBの利下げ開始時期が後ずれするリスクへの対応策として米ドルを選好しています。総括すると、良好な経済環境が株式や産業用金属にとって追い風となると考えている一方、景気が過度に良好であることに起因し米国で高金利の状態が長期化することを懸念しています。
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