市場環境
2月は米国で市場予想を上回る経済統計が相次ぎ、金融引き締めの長期化懸念から上値の重い展開となったものの、円安がサポート材料となり小幅に続伸しました。TOPIX(配当込み)では0.9%の上昇となりました。年度初来では、4.0%の上昇となりました。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
市場動向としては、海運、鉄鋼や機械の他、銀行などが強く、PBR1倍割れ企業に対する議論とも関係して低PBR業種の強さが目立ちました。一方で、精密機器、その他製品、サービス、情報・通信などが軟調でした。スタイルではバリュー優位が強くなり、米金利上昇もあってグロース株は調整色が強くなりました。サイズでは小型が相対的に優位でした。
弊社の主要戦略のパフォーマンスは1月に堅調だった反動も大きく、2月は苦戦を強いられました。コア、サステナブル、グロース、小型、マイクロで比較的大きなアンダーパフォーマンスとなった一方で、バリュー優位相場にあってオポチュニティ、イールドはアウトパフォームとなりました。
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
運用者の視点『シュローダー日本株アナリストのESG情報の活用に関して』
滑川 晃
日本株式 セクターアナリスト
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
この数年、企業からのESG情報の開示が一段と増えています。時々アナリストがESG情報をどのように投資判断に活用しているのか尋ねられるので、今回は改めて紹介したいと思います。
一つめは、個別銘柄のフェアバリューの算出に使っています。アナリストは個別企業の中長期の業績予想を作ります。フェアバリューは、3期先のアナリスト予想EPS×TOPIXの3期先PER×プレミアム・ディスカウント+純金融資産と景気循環の調整を基本にしています。このプレミアム・ディスカウントは、個別企業の成長性、収益の質、財務体質、経営の質、株主還元などから構成されています。
この構成要素の中に、環境、社会、ガバナンスなどの項目があります。アナリストは企業のESG情報をこれらの評価に点数として数値化し反映しています。この手法は、ESGという言葉が広がる以前の20数年以上前から使っていて、適時見直し改善しています。以前は、アナリストが一つずつ数値化していましたが、最近はシュローダー独自開発のESGツールSustainExとのデータ連携を強化しています。
SustainExは、現在は個別企業の財務諸表には表れていない潜在的な社会的ポジティブ・ネガティブ影響額を数値化しています。学術的研究などを基に、47の社会的トレンドからの個別企業への負担が顕在化した場合の影響額を見ています。私が担当する食品セクターでは、アルコール、食品ロスや水資源などの潜在的ネガティブ影響が大きく出ます。ただし、負担の割り振りがメーカーに偏っていたり、また企業ごとに課題への取り組みに差があるため、柔軟にこれらを調整して考えるようにしています。通信セクターでは、二酸化炭素排出がマイナスに出ますが、それ以上に通信でつなぐことによる付加価値の創出という意味でのコネクティビティが潜在的プラスとして大きく出ます。この見方は、ユニークだと思います。
二つめは、同じくシュローダーの独自開発ツールContextでの分析に活用しています。Contextは、企業と、その顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、政府と規制当局など様々なステークホルダーとの関係性を分析し、企業ごとにスコアを算出しています。通信セクターでは、ARPU、解約率、バンドルサービスなどで顧客との関係性を見たり、規制当局からの影響を反映しています。ITサービスセクターでは、特に人材が重要なため、従業員の給与水準や人材投資などを反映しています。これを基に、アナリストはレポートを書いたり、ファンドマネジャーと議論し、投資判断につなげています。
ESG情報の開示の量は、企業によりばらつきがありますが、できるだけ公正で客観的に評価するよう努めています。企業のESGに対する姿勢は加速的に変化しているので、この変化もしっかり捉えていきます。
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