市場環境
5月は、比較的堅調な推移が予想される日本経済に対する安心感に加え、資本コストや株価を意識した経営を求める東証の要請に対する期待感から海外投資家を中心に買いが広がり、日本株は続伸しました。TOPIX(配当込み)では3.6%の上昇となりました。年度初来では5.8%の上昇となっています。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
市場動向としては、電気機器、精密機器や機械、輸送用機器、総合商社を含む卸売などの外需、景気敏感な主力大型株が強く、保険も反発して銀行など金融セクターも堅調でした。一方、海運、非鉄金属、石油・石炭製品、鉄鋼などは下落し、小売、不動産、食料品など内需関連も軟調でした。外国人買いなどの需給要因による影響が大きい印象で、スタイルではグロース優位、サイズでは大型優位が極端になりました。
弊社の主要戦略のパフォーマンスは市場のグロース優位への転換を受けて、まちまちな結果となり、コアやイールドはアンダーパフォームしたものの、オポチュニティやサステナブルはベンチマーク並み、グロース、小型、マイクロはアウトパフォームとなりました。
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
英国人投資家による冒険と発見
岩下 哲夫
日本株式 セクターアナリスト
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
機械、自動車、自動車部品担当のアナリスト、岩下です。
新型コロナが落ち着き、海外オフィスの同僚たちも動き出しています。昨年10月から東京オフィスにも頻繁に来訪するようになっており、また5月後半には大規模な日本株カンファレンスが実施されたことから、来訪者数がさらに増加し、にぎやかな期間となりました。
そんな折、英国の同僚とともに、各地の日本企業(主に機械セクター)を訪問する機会を得ました。1週間にわたり多くの企業と対面で面談を行い、充実した時間を過ごすことができました。海外投資家の興味のひとつは、原材料価格上昇(エネルギー価格上昇を含む)に応じて実施した製品・サービス価格上昇がどこまでコストをカバーできたのか、また原材料価格上昇がピークアウトした後、価格をまた下げてしまうのか、あるいは据え置くことができるのか?でした。これらの設問への回答や説明によって、競争環境において企業のおかれている位置やそれぞれの事情が明確になるという点において重要な論点であり、大変興味深いものでした。
私が調査を担当する電動工具メーカーは、今後3年にわたり在庫削減を継続し、浮いた現金を自社株買いに充当する方針を打ち出しました。同社の会長が、他社の社外取締役を務める過程で資本コストの重要性に気づいたことが背景あったようです。今回来訪した英国の同僚は、資本政策改善に素直に驚いており、私も社外取締役制度が良い循環を生んだことをうれしく感じました。
また、海外ビジネスが順調に拡大している空圧機器メーカーも確認できました。これは、景気サイクルに関係なく、強い企業がさらに強くなる例です。受注トレンドから判断すると、今後数か月間については業況が踊り場になりそうですが、私自身は2024年以降の業績回復期待は維持できるとの印象を持ったほか、一連の企業取材についても、総じて印象は悪くありませんでした。
さて、最近、愛知県の日本を代表する自動車グループが、グループ間の株式持ち合いを解消していく方向性を打ち出しました。私が知る限りこれまで20年以上変化がなかったことから、個人的には最大の驚きでした。実行スピードや、現金使途などが焦点になってくると思われます。今回来日した同僚が、5年前に少し辛めの評価をしていた企業群への評価が今後どう変わっていくのか、今後も注視していきたいです。
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