市場環境
6月は、米国における債務上限問題が解決に向かい、円安が進行する中で海外投資家による買いが継続、日本株は続伸となりました。TOPIX(配当込み)では7.5%の上昇となりました。年度初来では14.4%の上昇となっています。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
市場動向としては、総合商社株、トヨタ自動車はじめとした自動車関連、空運、鉄鋼などが強く、その他金融や保険などの金融セクターも大きく上昇しました。一方で、テクノロジー関連は減速し、医薬品、食料品、陸運などのディフェンシブ、サービス、小売などの内需関連は出遅れました。外国人買い、パッシブへの資金フローなどの需給要因による影響が大きい印象で大型株主導の相場となり、サイズでは大型優位が継続、スタイルでは前月のグロース優位から転換してバリュー優位となるなど極端な市場環境でした。
弊社の主要戦略のパフォーマンスは大型バリュー主導の上昇相場にあって、コア、サステナブル、グロース、小型、マイクロは比較的に大きなアンダーパフォームとなった一方、バリュー特性のオポチュニティ、イールドはアウトパフォームしました。
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
インフレ禍のひとりぼっち
佐藤 円香
日本株式 セクターアナリスト
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
昨年から、日本がしばらく経験したことのないようなインフレーションが続いています。まずモノの価格が上昇を始め、電力料金をはじめとする公共料金が高騰を続けています。かなり遅れて賃金が上昇を始めましたが、物価上昇率を考慮すれば実質賃金は下がった状況のままです。家計の収支が悪化すると共に企業の収支も苦しくなっており、その打開に向けて各社が値上げに踏み切りました。食品メーカーの中には早くも4回目、5回目の値上げを打ち出すメーカーも出始めています。
そのような環境の中、唯一価格の引き上げが制度的に困難な産業セクターが私の担当する医薬品セクターです。大手は収益の柱を海外市場に既に確保しているメーカーが多い一方で、国内依存度の高い中堅から下位のメーカーは苦戦を強いられています。さすがの日本政府も遅ればせながらアクションを取り始め、今年の4月にやっと不採算製品の一部については価格再算定を受け薬価の引き上げが行われました。基礎的な輸液など非常にベーシックでもともと利益率の低い製品、そして5円90銭の最低薬価まで薬価が引き下げられた品目のごく一部が薬価引き上げの措置を受けましたが、これらは多少薬価が引きあがったところで低採算品目であり続けます。1錠2円にも満たない薬剤も、減価償却費の負担が続く生産拠点で製造し、人手不足が長らく続く流通業界がディストリビューションを担っています。どちらのプロセスにも人件費が発生します。他産業のいろいろなメーカーが次々と値上げを表明する日々が続く中、私はどうも一人だけ仲間外れにされてしまったような気持ちでおります。
ジェネリック品を中心に供給問題が発生して早くも3年目に突入しました。これらの多くが製薬メーカーにとっての不採算品目です。そしてメーカーのうちの1社が限定出荷を解除するとその会社に注文が殺到し、結果として不採算品目の比率が高まり全体の売り上げ構成を悪化させてしまうのです。人件費や物資の価格も上昇している中で売り上げ構成が悪化をすれば、ごく自然に全体の利益率が悪化してしまうため、安易に出荷制限を解除できないという、とても苦しい状況に置かれているわけです。したがって、ジェネリック品の供給問題はちょっとやそっとでは解決しそうもありません。調剤薬局の仕入れ担当者は様々な仕入れ先に連絡をし、苦労して在庫を調達している状況が続いていることから疲労度は高まる一方です。ジェネリック医薬品の営業担当も罵詈雑言を浴び続ける日々と戦っています。
ジェネリック医薬品は我が国の医療費を削減するために重要な役割を果たし続けてきました。物不足が続く中でもその役割の重みは変わりません。我が国の皆保険制度を守っていくためにもより早急に不採算・超低採算品目の薬価を引き上げて日本の医薬品産業、そして日本の医療制度の持続性を担保するような政策が待たれます。
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