市場環境
8月は中国経済の減速懸念から一旦調整色が強まったものの、月末にかけては米国における利上げへの警戒感が後退して買い戻される展開となり。TOPIX(配当込み)では+0.4%と小幅な上昇となりました。日経平均は-1.7%と下落しており、大型株は調整局面となりました。TOPIX(配当込み)は年度初来では+16.7%となっています。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
市場動向としては、海運、鉱業、石油・石炭製品、鉄鋼などの資源関連、電気・ガス、食料品、医薬品などのディフェンシブ業種が堅調で、これまで弱かった不動産、小売などの内需関連も上昇しています。一方で、テクノロジーや機械、化学などは利益確定売りによるリバーサルもあって軟調でした。サイズで小型株優位、スタイルとしてはバリュー優位が継続しました。弊社の主要戦略のパフォーマンスはバリュー優位相場が継続して、オポチュニティやイールドは若干ながらアウトパフォーム継続、小型は銘柄選択で大きくアウトパフォームした一方で、コア、サステナブル、グロース、マイクロはアンダーパフォームが継続しました。
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
動き始めた日本経済
竹爪 正樹
日本株式 日本株式 ファンドマネジャー
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
昔やっていたスポーツを久しぶりにやってみると、最初は動きがぎこちなくて身体が思うように動かないように感じられるのですが、だんだんと身体が昔の動きを思い出し、しばらくすると昔のようにスムーズに動けるようになるものです。
「失われた30年」と言われ、長らく成長率の低下に苦しんできた日本経済もここにきて漸く活性化してきた、言い換えれば、30年振りに経済が動き始めた感があります。
これまではデフレマインドの蔓延や人口減少などの構造問題を背景に将来への悲観が強まり、消費者は支出を抑制し預貯金などの安全資産への貯蓄を選好するなど生活防衛を優先させてきました。また多くの企業も、国内での数量成長があまり期待できない中では、有形/無形資産の成長を抑制し、規模の拡大や成長投資などよりも利益率やバランスシートの改善を優先してきました。言うなれば、日本国内では消費者も企業も大きく動くことなく身をひそめてきたようなものです。
ところが、ここにきて経済環境が大きく変化しつつあります。長らくデフレの状況にあった国内でもインフレ基調への転換の動きが強まっており、人手不足の高進も相俟って、賃上げの流れも強まっているように思われます。インフレ、すなわちモノやサービスの価格上昇は、それ自体では企業の利益成長に寄与するものですが、値上がりしたモノやサービスを購入する消費者の購買力もそれに見合って改善していなければ、持続性はありません。その観点からも、足元の賃上げ、すなわち購買力改善の流れが持続するかが重要になります。
また、企業においても、国内の生産資本の老朽化や人手不足の高進といった問題や、インフレ、すなわち価格決定力の改善による将来見通しの改善などを背景に、設備投資の積極化や生産性改善への取り組みを強化したり、あるいはバランスシートの余剰資本の活用による成長投資や資本効率の改善施策を導入するなど、自社の成長性や効率性を高める動きが積極化しつつあります。
もちろん30年振りに動き始めただけあって、経済にはまだまだぎこちなさが残るところは多々あります。労働市場の流動性は依然として低く、転職や中途採用などを通じた人的資本の再配分による人手不足の緩和や生産性の向上は緩やかなものに留まっていますし、国内での有形/無形資産投資の増加もその投資効果を見極めていく必要があります。
しかし、30年ぶりに経済が動き始めたことは確かであり、当初の動きがぎこちなくとも、時間の経過とともに、国内投資の回復、生産性の改善、資本効率の改善、所得向上、安定的なインフレ、などと経済がスムーズに動き始めることが期待されます。
株式投資に携わる立場としては、このような大きな変化が起きつつある環境下では、過去の経験や先入観に引きずられることなく、虚心坦懐に市場や企業と向き合い、こうした変化から生じる様々な投資機会を見出していきたいと思います。
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