市場環境
4月は、米国における利下げ期待が後退したことから米長期金利が上昇、世界的に株式市場は調整の動きとなり日本株も4か月ぶりの下落となりました。TOPIX(配当込み)では-0.9%と小幅な下落でしたが、日経平均では-4.9%と下落して大型株を中心に調整局面となりました。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
市場動向としては、海運、非鉄金属、卸売、電気・ガス、ゴム製品などで上昇し、食料品、医薬品などのディフェンシブ業種、保険、銀行なども堅調でした。一方で、小売や空運、情報・通信、陸運などの内需関連が弱く、鉄鋼、輸送用機器、サービスなどもアンダーパフォームしました。スタイルではバリュー優位の傾向が継続し、規模別では大型が調整したのに対し、中型は堅調ながら小型では特にグロース市場などで下落幅が大きくなりました。
弊社の主要戦略のパフォーマンスは、これまでの逆風のトレンドが一服し、全般的に堅調な結果となりました。バリュー優位の中でイールド、オポチュニティは大きくアウトパフォームし、マイクロキャップも大きくアウトパフォームし、コアも堅調、小型やサステナブルはほぼベンチマーク並みでした。
パフォーマンス一覧速報(対ベンチマーク超過収益)
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
AIとESG:機会と課題
飯田 夏木
サステナブル・エクイティ・アナリスト
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
「Genie、この文章を要約してください」、「Genie、この文章を校正してください」。これらのフレーズは、私が少なくとも一日に一回は使うものになりました。シュローダーでは、Genieという社内AIツールを活用しています。まさに魔法のランプから出てきたジーニーのように、私の要望を叶えてくれます。まだ全ての可能性を引き出すまでには至っていませんが、Genieの導入が仕事の効率化に繋がったことは間違いありません。
しかし、AIがもたらす環境や社会への影響も無視することはできません。環境面では、データセンターの増加に伴う電力や水の使用量の増加が予想されます。脱炭素化を目指しながら、増大する電力需要をどう賄うかは今後大きな課題となります。各国や地域の元々のエネルギー事情や金利の状況により、再生可能エネルギーや原子力、ガス、どういった電源ミックスが最適なのかは変わってきます。また、データセンター冷却の需要も高まっており、水も重要な環境資源となります。例えば、米国のデータセンターが暑さの厳しいテキサスやアリゾナに集中していることも、今後注視すべき事項です。これらの課題解決に向けたソリューションを提供する企業が登場し、新たな機会を掴み取ることができる企業を見つけ出すこともできるでしょう。社会面では、予見できない人権リスクや知的財産権の侵害などが挙げられ、様々なセーフガードが必要とされます。国際的な枠組みを含む規制の議論は、多くの国や地域で進行中であり、ルールに基づいたAIの活用が期待されます。もちろん、AIがポジティブな影響を及ぼす例もあります。ある日本の企業が提供する人材マッチングビジネスでは、AIが年齢に関するバイアスを減らすとの話を耳にしました。投資家としては、経済的価値と社会的価値の両方を提供できる企業に注目していきたいと考えています。最後に、ガバナンスへの影響についてですが、ここはまだ十分に理解されていない部分です。取締役会の効率化につながると思いますが、AIがもたらすリスクに対する監督機能の強化も必要となるでしょう。
AIとESGは、長期的なテーマです。今後、企業との面談でもAIとESGについて話題になることを予想しています。もちろん、この文章もGenieに校正を頼んでいます。ESGアナリストとして、AIの活用方法を模索し続けていきたいと思っています。
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