市場環境
8月は、月初3営業日でTOPIXは20%の急落となった後、月末にかけて22%の急上昇となる歴史的な乱高下の相場となりました。月後半は米国の景気後退懸念が弱まったことなどから底堅い推移隣、結局、TOPIX(配当込み)では-2.9%の下落となりました。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
業種動向としては、リターンリバーサルや円高の影響で、海運、小売、精密機器が強かった他、医薬品などのディフェンシブ、サービス、情報・通信など内需関連が堅調でした。一方で、銀行、証券・商品取引、保険などの金融セクター、金属製品、ゴム製品、輸送用機器、機械などの輸出関連なども下落幅が大きくなりました。バリュー株の反落が大きく、スタイルではグロース優位、サイズでは若干の小型優位となりました。
弊社の主要戦略のパフォーマンスは、全般的に厳しく、リバーサルやオーバーウェイトしている金融セクターの反落で、オポチュニティやイールドで比較的大きくアンダーパフォームし、コアやサステナブルもアンダーパフォームしました。一方で小型グロースが優位となる中で小型とマイクロはアウトパフォームしています。
パフォーマンス一覧速報(対ベンチマーク超過収益)
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
高配当株投資におけるアルファ(超過収益)の源泉
三浦 隆史
日本株式 ファンドマネジャー
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
私は高配当株に投資をするファンドの運営を行っています。このコラムでは、高配当株投資でどのようにアルファ(超過収益)を追求するかについて書きたいと思います。
高配当株投資では、配当利回りが高く、投資額に対して大きな配当をもらえる企業に投資を行います。配当をたくさん払えるだけの健全な財務体質と安定した業績動向の会社に投資することが多いため、リスクを抑えながらインカムゲインとキャピタルゲインを狙うことができます。しかし一方で、高配当株投資にはデメリットやリスクもあります。まず、配当を支払っている安定した企業に投資をするため、逆に言うと、これから大きな成長が見込めるグロース企業には投資することができません。グロース企業の場合は配当の支払いよりも成長投資が優先されるため、高配当株投資の対象には入りません。また、配当利回りが4~5%と高くなっている企業は、何かしらの問題を抱えている場合も多いです。例えば、利益が長期で低迷している企業は投資家からも不人気になり、株価は割安に(配当利回りは高く)なります。そういった会社に投資をしてしまうと、配当利回りは高いので安定した配当は受け取れますが、成長がないので株価の上昇(キャピタルゲイン)を狙えなくなってしまいます。最悪のパターンは、利益の低迷によってだんだんと配当を支払う余力が削られていき、最終的に減配となってしまうことです。高配当株投資の一番のリスクは減配です。配当利回りが高くて割安に見える企業であっても、その根拠となる配当が減配されてしまうと、その割安感は幻になってしまいます。配当利回りは高いが業績の低迷によっていつまでも割安な状態が続いてしまうケース(バリュートラップ)。そして高配当株の根拠となる配当が減配されてしまうケース。この2つが高配当株投資における最大のリスクです。
こういったリスクを避けるために、高配当株投資では配当の安定性と成長性に注目した銘柄選定が肝要だと考えています。配当の安定性については、財務体質の健全性に加えて、利益・キャッシュフローの創出力を確認します。配当性向(利益に対して支払っている配当の割合)が高すぎる会社は、利益が低迷した場合の減配リスクが高くなります。配当の成長性については、企業としての競争力、そして成長ドライバーの有無を確認します。高配当株投資はグロース株投資のように毎年何十%も成長していく会社は投資対象になりません。ですが、大きな投資は必要なく、毎年GDP以上の成長率を安定して達成している会社は日本にもたくさんあります。そういった会社が何かしらの理由で割安になっている時に買えると、安定した配当の成長がアルファの源泉となります。
このように高配当株投資では配当利回りの高さに加えて、配当の安定性と成長性に着目した銘柄選定が肝要だと考えています。当社では、日本の全上場企業に対して配当の安定性を定量的に分析しており、配当利回りが高く、安定した配当が見込める会社に投資をするスマートベータ運用を今年から始めました。過去のバックテストは非常に優秀な成績を示していますが、この戦略が今後もしっかりと機能するのか、運用担当者として責任を持って管理していきたいと思います。
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