市場環境
11月は、米大統領選におけるトランプ氏の勝利が一旦は好感されたものの、関税引き上げの悪影響を懸念する動きから軟調な展開となり、日本株は下落しました。TOPIX(配当込み)では-0.5%の下落となりましたが、日経平均では-2.2%下落しており、大型主力株での調整が大きくなりました。TOPIX(配当込み)は年度初来では-2.0%となっています。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
業種動向としては、米国でのトランプ相場、円高の影響が出て、銀行、証券、保険など金融株が上昇し、小売、サービスなどの内需関連も堅調でした。一方で、トランプ新政権の政策影響が懸念された医薬品や、外需関連で輸送用機器、精密機器、化学などで下落幅が大きくなりました。規模別では小型株が相対的に堅調で、スタイルでは大きなパフォーマンス格差はなかったものの、金融株を中心に大型バリュー株は上昇しました。
弊社の主要戦略のパフォーマンス(対ベンチマーク超過収益)は、全般的にパフォーマンス改善が進む結果となり、コアやサステナブルは大きくアウトパフォームし、オポチュニティ、イールド、マイクロも良好なパフォーマンスでした。一方で、小型株ではパフォーマンスの厳しい環境が継続しました。
パフォーマンス一覧速報(対ベンチマーク超過収益)
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
ITサービス業界の成長に期待
滑川 晃
日本株式 アナリスト
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
ITサービス業界が好調です。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、情報サービス産業の業界売上高は、コロナ禍前の5年間は年平均2.4%の成長でしたが、2022年度以降は6%前後の成長が継続しています。また、日銀短観によると、2024年度の全産業のソフトウェア投資額は前年比14.6%増の計画になっています。従来から必要性が言われていたDX投資が、コロナ禍でのオンライン対応をきっかけに加速し、本来の目的である生産性向上や新サービスの創出、また事業構造改革に向けて拡大しています。また、古くなった基幹系システムなどを新しい技術に基づくシステムへ刷新するモダナイゼーションの動きも活発になっています。以前に2025年の崖が問題になりましたが、大手ベンダーによるとモダナイゼーションの需要は2030年まで続く見通しです。
このような需要拡大を受けて、ITサービス業界各社の業績は堅調です。同業界は、一般的に労働集約型であるため、需要拡大によりエンジニアの稼働率が上昇し、売上高利益率が上昇しています。また、最近では値上げの効果も一段と顕在化しています。以前は時々発生していた不採算案件も、各社のチェック機能の強化や無理な受注の減少により、少なくなっています。人手不足は深刻ですが、受注の制約までには至っていないようです。
今後は、コンサルティング力や生成AIへの取り組みが注目されます。この数年、様々な業界の社長などマネジメント層と話す機会が増えましたが、DXで先行している会社からは、マネジメントがトップダウンでDXを推進し、成功している事例を聞くことが増えました。内容は、経営の見える化、社内データの有効活用、新商品や新サービスの開発、組織改革など様々です。また、ユーザー企業では、ベンダー任せでなく、社内でもDX人材を育成する動きも増えています。ITサービス会社には、経営課題からシステム構築まで全体をコンサルティングできる能力が求められています。生成AIに関しては、テスト工程やプログラム生成などITサービス会社社内の生産性改善で大きな成果が出ている報告が増えています。今後は、顧客向けサービスへの活用が期待されます。
弊社のポートフォリオでも、いくつかのITサービス業界の銘柄を組み入れたことで、パフォーマンスに貢献する事ができました。今後もITサービス業界の成長に期待を持って、調査を続けて参ります。
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