市場概況
2月、世界の株式市場は、まちまちの動きとなりました。米国株式については、堅調な労働市場やインフレ高止まりの可能性を背景に、より長期に亘って高水準の金利が維持されるとの見方が拡がり、米国株式は下落しました。欧州では天然ガス価格の下落により景気後退懸念が和らいだことなどを背景に、欧州株式は上昇しました。日本株式は、円安進行が好感され、小幅に上昇しました。エマージング市場については、米中間の緊張の高まりを巡る懸念が重しとなり、エマージング株式は下落し、先進国株式をアンダーパフォームしました。債券については、米国の堅調な経済指標や利上げ継続の観測を背景に、米国の長期金利は大きく上昇し、ドイツ国債利回りも上昇しました。クレジット資産については、米国の投資適格債券およびハイイールド債券のスプレッドは拡大し、下落しました。欧州クレジット資産は、欧州経済が予想されていたよりも底堅く推移していることから、下落幅は米国に比べて小幅となりました。
主な投資行動
ダウンサイドリスクの管理
- 金利上昇が進む中、金利上昇が株式にもたらし得るマイナスの影響をヘッジするために、ダウンサイドリスク管理を企図して、株式組入比率(米国株式、欧州株式、日本株式)を引き下げたほか、米国株式プットオプションを組み入れ。
- 粘着性が懸念される米国インフレを背景に米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを継続する可能性があることから、ダウンサイドリスク管理の一環で対米ドルの日本円ヘッジ比率を引き下げ
レラティブトレードの構築/解消
- 米国10年国債・豪州10年国債ロングのポジションを追加:インフレ鎮静化に伴い、FRBの過度なタカ派姿勢は緩和し、市場の注目は景気減速懸念にシフトすることが見込まれることから、米国10年国債・豪州10年国債ロングのポジションの組入比率を引き上げることで、ポートフォリオのデュレーションを引き上げ。豪州国債には魅力的なキャリーや分散効果も期待される。
- 米国不動産セクターロング/米国生活必需品セクターショートのポジションを解消:米国生活必需品セクターショートのポジションを米国株式ショートのポジションに入れ替えることで同ポジションを解消。米国不動産セクターロングについては、魅力的なバリュエーションや経済減速のヘッジ手段として保有を維持。
今後の資産配分と運用戦略
インフレや労働市場の状況を受け、景気減速または景気後退のタイミングが後ずれしている可能性はありますが、米国の利上げサイクルは後期にあると判断しており、デュレーションについては押し目買いの姿勢を維持ししつつ、ポートフォリオにデュレーションリスクを戻していく方針です。ポートフォリオでは、豪州10年国債と米国10年国債のロングのポジションの保有を通して、デュレーションを引き上げています。また、足元では底堅い経済活動と堅調な労働市場を背景に、金利の上昇リスクが高まっています。金利がより長期に亘り、高止まりする可能性を受け、ポートフォリオでは、国債利回りの上昇が株式市場にもたらし得るマイナスの影響をヘッジするために、株式比率を引き下げています。
全般的には、引き続き債券の投資機会に注力し、対米国株式で欧州株式を選好しています。FRBが金利を積極的に引き上げるリスクやハードランディング等のリスクが残っています。当面は、インフレ、労働市場の動向、経済成長などに注視しつつ、機動的な資産配分を行う方針です。
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