市場概況
3月、世界の株式市場は欧米の金融システム不安を受け、一時大幅に下落しましたが、月末にかけ反発し、世界株式は上昇して終えました。米国ではシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻、欧州ではスイス金融大手の救済買収を背景に、米国株式や欧州株式は大きく下落する局面がありましたが、金融当局により迅速に支援策が打ち出され、懸念が後退したことから、月末にかけて買い戻しが進み上昇しました。これらを受け、アジア株式については、前半はボラティリティの高い市場となりましたが、中国の経済再開に対する期待や、経済指標の改善を背景に上昇して終えました。債券については、欧米での一連の金融システム不安を背景に、利上げの打ち止め観測が拡がったことや、投資家のリスク回避姿勢が強まったことから、米国債を中心とした主要国国債利回りは大きく低下しました。クレジット資産については、金利低下を受け、投資適格債券、ハイイールド債券ともに上昇しました。
主な投資行動
スタイル・セクターを中立のポジションに回帰
- 株式の見通しを中立とするなかでも、引き続き慎重な見方を反映し、クオリティとバリュー色のある株式(米国株式内では、ダウジョーンズ)を組み入れてきましたが、ダウ・ジョーンズ(vs S&P500)が相対的に堅調に推移してきたことや、スタイルは中立的な見方を取っていることなどから、クオリティやバリュー色にやや傾倒してきたポジションを中心回帰すべきと判断し、NYダウ先物のポジションを解消。同時に米国株式ショートのポジションを解消することで、株式組入比率を維持。
- 米国株式および先進国株式のセクターについて、中立の見方を取ることから、米国不動産セクター株式(米国REITに分類)をより広範な米国株式に入れ替え。
レラティブトレードの構築/解消
- 欧州株式ロング/米国株式ショートのポジションを解消:欧州の暖冬や底堅い経済などのプラス要因を市場は織り込み済みと考えることから、利益確定で同ポジションを解消。
今後の資産配分と運用戦略
足元数ヵ月間において、ポートフォリオではデュレーションの引き上げなどを通して経済活動の減速に対して備えを進めてきました。米国の労働市場は予想よりも底堅い状況が続いていますが、高水準にある金利は、シリコンバレーバンク(SVB)や地方銀行に影響を与え、クレディ・スイスの預金流出を巡っても懸念が拡がっています。これを受け、米国金利は大きく低下しており、国債を通じたデュレーションロングのポジションの利益確定を行うかの見極めが必要となります。マルチアセットチームでは、短期金利の低下はやや行き過ぎと判断していますが、インフレの低下や労働市場のピークアウトの兆候がみられることから、米連邦準備制度理事会(FRB)は、数か月後には金融引き締め策を中立に転向することができると考えており、デュレーションに対してポジティブの見方を維持しています。株式については、金利のピークアウトがバリュエーションの支援材料となる一方で、金融ストレスがさらなる高まるリスクや景気減速が見込まれることを考慮して、中立の見通しを維持しています。
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