市場概況
4月、好調な経済指標などを背景に、世界株式は上昇しました。米国株式はインフレ鈍化を受け、利上げサイクルが終盤に近いとの見方が拡がり上昇しました。月下旬に米地銀を巡る金融不安の再燃から一時急落する局面もありましたが、月末に反発して終えました。欧州株式については、好調な経済指標や企業決算を受け、上昇しました。日本株式は、米著名投資家が日本株式に対し強気の姿勢を示したことや、日銀が金融緩和政策を維持したことが好感され、上昇しました。一方で、新興国株式は米中対立激化への懸念などを背景に、下落しました。債券については、レンジ内での動きとなり、まちまちとなりました。米国では利上げ停止の見方が拡がったことから、米10年国債利回りは小幅に低下しました。欧州では、良好な経済指標を背景に、ドイツ10年国債利回りは上昇しました。クレジット資産については、投資適格債券、ハイイールド債券ともに上昇しました。
主な投資行動
株式組入比率を調整
- 企業業績見通しに対して慎重な見方をしていることや、高い金利を背景に見込まれる米国経済の減速など考慮し、米国株式、欧州株式を通して、株式組入比率を引き下げ。(ただし、株式市場が上昇したことから、保有していた株式プットオプションのエクスポージャーが縮小したため、結果的には株式組入比率は小幅に上昇)
今後の資産配分と運用戦略
これまでポートフォリオでは、高金利を背景に見込まれる米国の経済減速に備えるため、段階的にポジションを調整しています。銀行セクターを巡る緊張やインフレの減速、労働市場逼迫の緩和を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)は今後数カ月で金融引き締めを終了する可能性が高いと考えることから、デュレーションについてポジティブな見通しを維持しています。
一方で、株式については慎重な見通しとしています。株式市場は年初来上昇していますが、金利の安定化がグロース銘柄のバリュエーション圧力を緩和したことが大きいと言えるほか、我々は投資家が金融政策の見通しに対し、楽観的過ぎることを懸念しています。大幅な経済活動の減速がみられた場合、2023年内にFRBは金融緩和へ転換すると考えていますが、株式バリュエーションには大幅な経済減速は反映されていない状態です。
全般的には、見込まれる経済減速と、大幅に割安とは言えないバリュエーションを考慮し、ポートフォリオではディフェンシブなポジションを取っています。当面は、経済成長の減速、労働市場の動向、米国の債務上限問題などに注視しつつ、機動的な資産配分を行う方針です。
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