金融・債務危機当時の水準まで売り込まれたユーロ株式

2019年3月15日

売り込まれた2018年のユーロ株式

 2018年のユーロ圏経済は、①米中貿易摩擦などの影響により外需が冷え込んだこと、②2017年に進行したユーロ高の影響、更には③2018年9月に導入された全ての新規登録車に対する世界統一排出ガス・燃費試験規則(WLTP)の義務付け(新型車については2017年9月から既に義務付け)など、複数の要因が重なり、景気の回復・拡大ペースが鈍化しました。

 このような環境下、2018年のユーロ株式市場も総じて軟調な値動きとなりましたが、2019年初来からは回復の兆しがみえはじめています。但し、株価は過去の水準に照らして依然として割安な水準に置かれており、国によっては株価収益率(PER)が、世界金融危機や欧州債務危機当時の水準まで低下、投資家心理の冷え込みから過度に売られすぎているという状況にあります。

「投資家心理の改善」、「企業の構造改革」がもたらす株価の転換点に注目

 2018年のユーロ圏経済の回復・拡大ペースが鈍化した背景には、WLTPの義務化や、ライン川の水位低下に伴って原材料を工場に搬送できず物流が滞ったことなど、一過性の要因に拠るところが大きいと考えています。2019年や2020年のユーロ圏経済については1.5%程度の成長を見込んでおり、景気後退の可能性は低いとみています。
 ユーロ株式市場をみると、相対的に景気への感応度が低いディフェンシブ銘柄については過去最高水準ともいえる割高な水準となっています。一方、自動車、自動車部品、梱包など、景気循環により敏感なセクターの銘柄が非常に割安です。

 例えば、厳しい景気局面にあって「安全な避難場所」のひとつとされる飲料セクターのPERが22.2倍であるのに対して、自動車及び自動車部品セクターのPERは6.7倍という現状です5。ユーロ圏経済については緩やかながら着実な回復・拡大が見込まれる中、英国のEU離脱や米中間の貿易摩擦を取り巻く先行き不透明感の解消は投資家心理の改善をもたらし、過度に売り込まれている魅力ある銘柄の株価回復にもつながると考えています。
 また、コスト削減や事業の選択・集中など個別企業独自の動きも、景気動向や投資家心理の改善とは別に、企業業績や株価の転換点となることがあります。従って、企業における構造改革(リストラクチャリング)の動向を注視することも、重要であると考えています。

 


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