EU離脱は首相辞任で混迷長期化の様相、欧州議会選挙でEU懐疑派の躍進

2019年5月31日

メイ首相の保守党党首辞任表明を受けて混迷が続く英国のEU離脱

 5月24日、メイ首相は英国の欧州連合(EU)離脱を巡る政治的な混乱の責任を取るとして6月7日に保守党党首を辞任すると表明しました。今後は7月末を目途に保守党の新しい党首が選出され、次期首相に就任する見通しです。既に複数の閣僚や閣僚経験者などが党首選への立候補を表明ないしは立候補が取り沙汰されていますが、顔ぶれをみる限りではEU離脱に対してより強硬な姿勢をとる候補者で占められています。

 5月26日現在、ボリス・ジョンソン前外相の次期党首選出が有力視されていますが、同氏は「合意なき離脱」も辞さない離脱強硬派として知られています。仮に同氏が次期首相に就任し、10月末の時点で何ら合意のないまま英国がEUを離脱するような事態に陥った場合、英国経済は減速し、2020年には景気後退局面に突入するとみています。その場合、金融当局は政策金利の引き下げに踏み切ると思われますが、通貨ポンドの下落に伴いインフレ圧力が高まる(物価が上昇する)と考えています。また、2016年以降、インフレ率の上昇や賃金の低迷などを背景に世帯貯蓄率が既に低下している状況も、需要の下支えという意味においてはマイナスであると考えています。

 英国の国内政治情勢を取り巻く混迷の度合いが増す中、打開策を見出す中では、解散総選挙や2回目の国民投票実施といった可能性も出てくるのではないかと考えています。

2大政治会派の議席減、EU懐疑派の議席増、連立交渉や主要人事に注目

【2019 年欧州議会選挙】

 欧州連合(EU)加盟各国で5月23日から26日にかけて実施された欧州議会選挙の結果、これまで長期に亘り2大政治会派を形成し議会を主導してきた中道右派でキリスト教民主党系の「欧州人民党(EPP)」と、中道左派で社会民主党系の「社会民主進歩同盟(S&D)」の議席数が過半数を割り込む見通しとなりました。

 一方、格差の拡大や移民・難民問題を背景に、極右や大衆迎合主義(ポピュリスト)的な勢力など、EU懐疑派勢力が議席を伸ばす見通しであることから、今後は2大会派の他会派との連立に向けた交渉や、今年秋に任期満了を迎える欧州委員長など主要人事の行方が、今後の欧州議会運営を見極める上で重要となります。

 


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