英国総選挙速報

2019年12月13日

総選挙は保守党が勝利、今後の焦点はEUとの自由貿易協定(FTA)締結交渉

 与党・保守党は、12月12日に実施された総選挙で368議席を獲得(改選前議席数:298)して勝利、単独過半数を獲得する見通しです。一方、最大野党・労働党は191議席の獲得にとどまり、改選前議席数(243)から大きく議席を減らすとみられています。選挙結果が最終的に確定するまで出口調査に基づく予想獲得議席数が変化する可能性は残されていますが、保守党政権は、最重要課題である2020年1月末のEU離脱をはじめ、国民医療保険制度(NHS)への歳出拡大など、政権公約の実現に向けて動き出すこととなります。

 ジョンソン首相は今後、欧州連合(EU)との間で既に合意に達している離脱協定案の法制化に向けて年内にも動き出す見通しです。与党・保守党が単独過半数を獲得する見通しであることから、離脱協定法案(WAB)は滞りなく成立するものとみられ、英国は2020年1月末にEUから離脱し、その後は移行期間1 に入る見通しです。

 2020年末までを期限とする移行期間においては、英国とEUとの間の新たな自由貿易協定(FTA)の締結などが焦点となります。ジョンソン首相は、EUとの間のFTA締結に向けた協議を本格化し、2020年末までの合意を目指す意向を示しています。またEUにおいても、バルニエ主席交渉官が、EU・英国間の新たなFTA締結に向けた交渉を最優先する考えを既に示しており、また安全保障など他の諸案件についても交渉妥結を目指すとしています。

 今回の総選挙で与党・保守党が単独過半数を獲得したことから、EU離脱を巡る先行き不透明感はひとまず後退したといえます。一方、仮にFTA交渉が難航し、移行期間を延長する場合には、2020年6月末までの申請が必要となります。FTA締結に向けて移行期間を延長することにも合意できなかった場合、英国は再び事実上の合意なき離脱という事態に直面する可能性も出てきます。

* 英国で実施された出口調査に基づくものであり、今後、選挙結果が最終的に確定した時点で議席数が変わる可能性があります。 1. 移行期間は、離脱に伴う企業や金融機関への影響を軽減する目的で設定されており、2020年12月31日を期限としています。英国は移行期間を通じて欧州単一市場や関税同盟に留まることになり、EU法の適用を受けることとなります。 ※上記は作成時において想定される英国のEU離脱に伴う影響のうち主なものを掲載するものであり、全ての影響を網羅するものではありません。作成時点において弊社が信頼性が高いとみなす情報等に基づくものであり、その正確さや将来を示唆・保証するものではなく、今後変更される可能性があります。シュローダーの経済調査チームの見解であり、シュローダー・グループの公式見解を示すものではありません。


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