インフラファイナンスにおける資金調達手段の多様化
機関投資家の投資対象としてのインフラストラクチャーマーケットは、過去10年間で世界規模の高成長を遂げてきた。しかし投資家のドライパウダーが積み上がっていること、投資対象となるインフラ資産に限りがあることから、マーケット構造が変化し始めている。すなわち、インフラエクイティファンドの急速な成長を背景に案件獲得が激化した結果、プロジェクトスポンサーに、リターン確保のための資金調達手段を多様化させる必要性が生じつつある。
また、インフラプロジェクトファイナンスにおけるレンダーの立場からも、マーケットの過熱による潜在的なリスク上昇に備え、資本構造におけるより厚いクッションが求められている。このような背景から台頭しつつある資金調達手法がインフラジュニアデットだ。
インフラシニアデットとジュニアデット
下図の通り、ジュニアデットとシニアデットの年間発行額、保有期間、期待リターン、リスク特性、市場参加者などは大きく異なる。一般的にシニアデットは保有期間が長く、デュレーションを求める投資家向きだ。一方ジュニアデットは保有期間が短く、相対的に短期間での流動性プレミアムを求める投資家に適する。そのため、インフラプロジェクトのスポンサーは両者の違いを十分に認識し、それぞれの投資家ニーズに応じて複数のトランシェを設定する。
例えば年金基金のポートフォリオにおいて、ジュニアデットはより短期で高いインカムをもたらし、シニアデットはデュレーションのマッチングやヘッジ機能を提供する。
ジュニアデットへの投資家の参加は限定的
プライベートマーケットにおけるインフラデットファンドのファンドレイズ額は、インフラエクイティファンドの約10分の1と言われており、まだ過熱にはほど遠い。中でもジュニアデットは、さらに需給環境が良い投資資産だ。
プロジェクトファイナンスにおけるシニアデットの主な担い手である銀行は、IGクレジットを主な投資対象とする。また、ソルベンシーII規制を受ける保険会社は、資本負荷が軽減されるIGクレジットを主体に投資し、サブIGクレジットを回避するインセンティブを持つ。その結果、資金ニーズが増えるジュニアデットの中心であるサブIGセグメントへの投資家の参加は限定的だ。機関投資家にとって、まだまだ投資妙味のある資産と言える。
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