加速するメガトレンドと質への逃避
2020年3月から欧米主要都市がロックダウンに入った影響で、経済の先行きが見直されている。景気回復後も、今回の世界的な危機は社会・経済に長期的な影響を残すだろう。一方、不動産投資におけるメガトレンドは変わらず、むしろ一部の構造的変化がより加速すると考える。
オンライン販売へのシフトで数年前から脆弱な商業セクターは、新型コロナウイルスの打撃により調整が一層加速し、投資需要も下落傾向が続く見込みだ。オフィスセクターでは、若年層のライフスタイルやテクノロジーの用などに応じ企業の需要が進化し、在宅ないしはリモート勤務の増加により柔軟性の高いリース形態と、顧客と従業員にアピールする多目的なハブ空間としての機能性向上が求められる。環境および健康への配慮についても注目が高まり、不動産投資の中心的な指針となるだろう。
低金利環境が続く市場サイクルにおいて、長期的に価値が保全され、収益の安定した利回り資産への需要は強い。一方、企業破綻の発生や需給バランスの変化など、リスクプレミアムが拡大する前提で投資戦略を練る必要がある。
流動性が高く調整が早い英国ロンドン不動産市場
不動産投資のリスクリターンを左右する大きな要因の一つは、投資対象地域の選定だ。新型コロナウイルスの影響を最も受けているのは主要都市であるものの、今後の回復と長期的な成長性を考えると、やはり産業の多様性があり、労働市場が流動的であるなど、イノベーション基盤が充実したロンドン、ニューヨークなどの大都市が再び経済を牽引することは否定し難い。中でも交通アクセス、周辺アメニティ、敷地形状および権利形態などに優れ、代替用途価値に支えられる物件は引き続き競争力を維持するだろう。ただし、前述のような物件に最初から安定利回りがついているコア物件は、取得競争が激しく利回りが低い傾向にある。従ってリスクプレミアム付きで取得した後、保有期間中にコア物件化する余地のある、コアプラスないしはバリューアッド型に投資妙味があると考える。
既に世界は深刻な不況に突入しており、今後の見通しは不透明だ。どのようなシナリオにも耐えるよう、テナントのニーズの把握と協調関係構築、各種リスクの管理、戦略性と規律あるアセットマネジメントは必須だろう。一方で投資市場は不安材料を先取りするため、弱含みな経済環境下でも優良物件を厳選しての投資が可能だ。例えば英国ロンドンの不動産市場は歴史的に最も流動性が高く、価格調整も早い。1990年代の不景気では、92年12月に下落に転じてから6ヶ月程度で、前回の金融危機では2008年12月に下落し始めてから9ヶ月程度で底打ちし、1年以内に明らかな価格上昇に転じた。加えて英国市場は、すでにブレグジットの不確定要因によるリスクが織り込まれ、他の主要市場に比べ高い期待利回りを維持している。更なる調整が起きれば相対的な割安感は顕著になり、2020年後半~21年までに投資好機が訪れるだろう。
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