投資適格とハイイールドの「中間地帯」に存在する魅力的な機会
"クロスオーバー・クレジット "とは、投資適格とハイイールドの中間に位置する社債を対象とするもので、最も興味深い投資オプションの一つです。
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ほとんどの社債ファンドは投資適格債かハイイールド債のいずれかに特化していますが、私たちはいわゆるクロスオーバーと呼ばれる両カテゴリーの中間領域にこそ、魅力的な投資機会が存在すると考えています。
クロスオーバー・クレジットは、主に主要格付機関が「BB」格を付与した債券をいいます。 これらの企業は通常、投資適格債の発行会社よりも多くの負債を持ち、またより景気動向に敏感です。 利息・税金・減価償却控除前の収入と負債とを比較したレバレッジ比率は、BB格付企業では投資適格の企業と比較し、通常3倍から4倍にもなります。 これら企業の債券は、世界のハイイールド債の投資機会の約半分を占め、通信・自動車・エネルギー・医療・消費財・金融サービスを含む幅広い経済セクターをカバーしています。
一般的に、これらの発行債は合理的なリスク調整後利益を提供すると考えられます。2月末時点のグローバルBB企業の平均米ドル利回りは約7%でした。BB格付企業は「非投資適格」に分類されるが、これらの企業の多くは中期的に負債を返済する能力を十分に備えていると考えています。
1983年以降のムーディーズのデータによると、BB発行企業の平均損失率は小さく、通常、年1%未満であることが示されています。 集団内にはバラツキがあるため、平均値は誤解を生じる可能性がありますが、積極的に銘柄を取捨選択していけば、この程度のリスクは十分管理可能であると考えられます。 デフォルトだけではなく、流動性リスクや格下げリスクなど、他にも考慮すべき要素があることは明らかですが、一般的にはBB債はリスクを利益で相殺することができると当社は考えています。
要するに、BB市場は非投資適格という格付けによる利回り水準が得られ、「ブローアップ」リスクに晒されることのない、スイート・スポット(最高の投資機会)を提供しているのです。
BBの領域にはどのような企業があるか?
BB格付の企業は、通常、次の4つのカテゴリのいずれかに該当します。 一つ目は、「フォールン・エンジェル(堕ちた天使)」と呼ばれるカテゴリーです。 テバファーマスーティカルやフォードなど、かつては有力な投資適格企業だったものの、BBに格下げされた企業がこれに当たります。
二つ目は、プライベートエクイティ・スポンサーによるレバレッジド・バイアウトです。アスダやQ-Parkなどがこれに当たります。
三つ目は、銀行・保険の劣後債で、欧州のBB銘柄のかなりの割合を占めています。 銀行は、自己資本を増強するために劣後債を発行します。劣後債は有期であったり、場合によっては永久に損失が吸収される商品であることもあります。ウニクレディト、バークレイズ、ドイツ銀行、ソシエテジェネラルなど、欧州の大手銀行の大半は、BB格付の証券を資本構成に組み込んでいます。
最後のカテゴリーは、BB格付けを自ら選択する発行体です。これら企業は、レバレッジの3倍程度が最適な資本構成であると考えており、望んでこの領域を選択します。 これらの自発的なBB企業は、必ずしも投資適格であることを望んでいません。 会社の将来を危険に晒すことなく、財務を調整することを求めています。 こうした債券の発行企業はBBの領域にかなり多く存在し、グリューネンタールやコンバテックといった製薬会社も含まれています。
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