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プライベート・クレジットを活用した信頼性の高い分散投資の実現

近年、プライベート・クレジット市場は急速に拡大しており、リスク・リターンの観点から非常に幅広いオプションが提供されています。その幅広いプライベート・クレジット市場から適切なリスク・リターン特性を有する投資機会に適切なタイミングで投資するためには、専門的なスキルが必要です。

2021年9月7日
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プライベート・クレジット市場は幅広く多様であり、それぞれの資産特性によってユニークな投資機会を提供します。そのため、相関性が低く、より安全なインカム収入を求める投資家にとって、豊富な分散投資の機会を提供します。

典型的なプライベート・クレジット商品とは?

投資家が活用できるプライベート・クレジット戦略の種類は過去10年間で急速に拡大しており、「典型的な」プライベート・クレジットとは何かを定義するのは困難になっています。自己資本要件の厳格化により、銀行は幅広い資産クラスへの融資という従来果たしてきた役割から撤退しました。このため、プライベート・コーポレートデットからインフラデット、商業用不動産デットなど多くのデットに関して新たな選択肢が生まれ、機関投資家の利益につながっています。

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ダイレクト・レンディング - プライベート・クレジット市場の成長を牽引

典型的なプライベート・クレジットを定義することは困難ですが、世界金融危機以降、プライベート・クレジット市場の成長に最も寄与してきたのは、直接金融です。ダイレクト・レンディングとは、一般的にミドルマーケットで投資適格未満の借手に対して、キャッシュフローに基づいた融資を行うことです。現在、ダイレクト・レンディングはプライベート・クレジットの中で、運用資産額が最大のサブセグメントとなっています。

Preqinによると、2009年以降、ダイレクト・レンディングは年率26%の成長を遂げ、2021年3月時点で4520億米ドルの資産規模となっています[1]。米国は最大かつ最も洗練された市場であり、グローバルにおける50%以上を占めています。しかし、英国、ドイツ、フランスなどのコア市場も、ダイレクト・レンディングの大きな市場となっています。

プライベート・クレジットの増加につながった、前述の構造的な変化は、米国市場において、この分野で事業を行う銀行数の減少を通じて非常に明確に示されています。この減少は、銀行の統合による影響も一部ありますが、規制変更を受けた結果でもあります。米国の銀行として融資業務を行うことが、単純に難しく、収益性が低くなっているのです。

同時に、中堅企業の経営者は、スピード、確実な融資の実行、より柔軟な融資ソリューションをますます求めるようになっています。このため、米国のような重要な地域では、貸手市場の構成に変化が生じています。銀行は、プライベート・エクイティに支援された取引への融資の割合を、2000年の50%近くから、現在では10%程度まで大幅に減少させています。



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興味深いことに、ダイレクト・レンディング市場には、多様な投資構造とソリューションが存在します。以下の図は、ダイレクト・レンディング市場で見られる主要な取引構造の概要を示しています。

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プライベート・クレジット市場で多様化が進む理由

プライベート・クレジット市場では、前述したダイレクト・レンディングなどのコアな取引以外にも、複数のサブアセットクラスを原資産としたポートフォリオを構築できる可能性があります。

強力なダウンサイドリスクのプロテクションを有しながらリターンを向上できるため、投資家はこれまで考慮してこなかったソリューションを検討しています。

プライベート・クレジット市場の深さと広さのおかげで、投資家は真にカスタマイズされた分散型プライベート・クレジット・ポートフォリオを実現することができます。

分散されたプライベート・クレジットのポートフォリオにより、投資家は従来、銀行や大規模な年金制度が独占してきた原資産クラスへのアクセスが可能になります。

一般的に、プライベート・クレジットの多様化は様々な形で捉えることができます。

  1. サブアセットの多様化 - ダイレクト・レンディングと不動産デットおよびインフラデットの組み合わせ
  2. 原資産となる借手の分散 - ポートフォリオ全体で損失の増幅を抑制

プライベート・クレジットの原資産クラスは、しばしば特異な性質を持ちますが、プライベート・クレジット内の資産クラス同士、また機関投資家のポートフォリオの伝統的で流動的な構成資産に対して、十分に分散されています。つまりプライベート・クレジットを組み合わせることで、ポートフォリオのボラティリティを抑え、全体的なリスク・リターン・プロファイルを向上させることができるのです。このことは、プライベート・アセットとパブリック・アセットの間の歴史的に低い相関関係によって、以下のように示されます。

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複数の独立した資産クラスにアロケーションを行うための、資産規模やガバナンスの予算がないような投資家にとって、分散型のプライベート・クレジット・アプローチは、プライベート市場を活用する効率的な手段となり得るものです。

プライベート・クレジット投資は、伝統的な債券資産とは異なる特性を持つ傾向があるため、効果的にソーシング、引受け、モニタリングするためには、リソースと強力な投資プロセス、およびガバナンスのフレームワークが必要となります。

プライベート・クレジット市場へのアクセスも重要な検討事項の1つです。多くの大手プライベート・クレジットのマネジャーは、クローズドエンド型で資金を調達しているため、投資家のアロケーションに制限があるほか、最低投資金額が設定されているため、小規模の投資家は投資ができない場合があります。

このようなダイナミクスを考慮すると、投資機会の積極的かつ一貫したアウトバウンド・ソーシングを維持するために、市場を完全にカバーし、専任のリソースを配置することが不可欠となります。

多様化を通じたリターン・プロファイルの向上

プライベート・クレジットの様々なサブアセットクラスに相関性がないことによるメリットに加え、分散された担保プールと資産に結びついた複数のインカム収入源を組み合わせることによるメリットもあります。

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戦術的なアロケーション

スプレッドは循環的な性質を持つため、ダイナミックなアプローチによる資産配分は、投資家が長期にわたりプライベート・クレジット市場内での相対的な価値を見出すのにも役立ちます。

様々な種類の担保資産を背景とした多様なインカム収入は、投資家のポートフォリオに高いリスク調整後リターンをもたらす可能性を高めます。 プライベート・クレジットの多様なポートフォリオは、すべて固有の潜在的なリスク・リターン・プロファイルを有しているため、様々なサブアセットの期待リターン・プロファイルを活用することができます。分散されたポートフォリオの中で、プライベート・クレジットの様々なサブアセットクラスにダイナミックかつ戦略的に配分できる柔軟性を持つことで、魅力的なアクセスポイントが生まれ、ポートフォリオの地域、担保、キャッシュフロー、市場セグメントなどを分散させることができます。これにより、ポートフォリオは基本的に強力なリターンを得ることができます。 このようなアプローチの一つを、以下の仮想的なポートフォリオのリターン分析で説明します。

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適切な場所に、適切なタイミングで

近年、プライベート・クレジット市場における投資の選択肢は急速に拡大しています。同時に、強力なダウンサイド・プロテクションと低い損失率によるリターンの向上という提案は、多くの投資家にとって魅力的な資産クラスとなっています。課題は、適切なタイミングで、適切なリスクプロファイルで、適切なプライベート・クレジット市場のポケットにアクセスすることです。

投資家は、非相関の担保に支えられたプライベート・クレジットの多様なキャッシュフローを活用しない手はありません。成長中の、非常に複雑な資産クラスであるプライベート・クレジットを活用することは、非常に効率的で生産的なポートフォリオ構築法であると、私たちは考えます。

[1] 出所:Preqin、 シニア債、ユニトランシェ債、ジュニア/劣後債、ブレンド/オポチュニスティック債を含むダイレクト・レンディング戦略を表す

 

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