インフラストラクチャー・デットへの投資を通じてエネルギー転換に貢献する方法

化石燃料から再生可能エネルギーへの移行は21世紀の最も重要な投資テーマの1つです。インフラストラクチャー・デットへの投資は、低金利環境において投資家にインカムを提供しながらこれらの重要な移行を推進することができます。

2021年7月6日
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著者

ジェローム・ネイロウド
ヘッド・オブ・インフラストラクチャー・デット

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2020年末、英国政府は2050年までに「ネット・ゼロ」を実現するために炭素排出目標を修正し、10ポイント・プランを発表しました。パンデミック危機が後退する中、英国政府は、「グリーン産業革命」を促進し、より強固でクリーンな経済を構築することを望んでいます。当然のことながらこの計画ではエネルギーの生産手段に重点が置かれています。風力、水素、原子力は、より環境に配慮した未来を実現するために開発の優先事項として政府の文書においても明示されています。

10ポイント・プランは、既存の炭素排出削減計画よりもさらに踏み込んでおり、今後10年間に1990年の水準と比較して温室効果ガスの排出量を少なくとも68%削減することを目標としています。この計画は、洋上風力発電容量の強化、低炭素である水素の利用、高度な原子力発電所の新設に加え、炭素回収技術と電気自動車の充電インフラの加速的な普及策を提案しています。

10ポイント・プランには明示的に記載されていませんが、再生可能エネルギーへの移行段階においては、引き続き、コンセッションを行う必要があることは注目に値します。エネルギー転換の投資機会は、再生可能エネルギーに関連するものだけでなく、エコ・システム全体にも見られます。発電に必要な風や太陽光が常に十分に確保できるとは限りません。再生可能エネルギーの断続性の問題は、エネルギー移行段階において代替的な発電手段が依然として必要であることを意味します。たとえば、効率性の高いコンバインド・サイクルガス・タービン(CCGT)の天然ガス発電所は、電力供給の安全性を確保できます。ストレージ(バッテリーなど)とエネルギー供給管理ツール(スマート・メーターなど)は暫定的な移行段階とネット・ゼロが実現した段階の両方で必要とされます。

プライベート投資の可能性

政府計画は十分に野心的ではあるものの、計画の成功はプライベート投資に大きく依存しています。政府にとっての朗報は、英国には世界で最も民営化されたインフラストラクチャー市場があるということです。1980年代と1990年代の英国での民営化の波は、それまでは完全に規制されていたインフラストラクチャー企業(様々なセクターにおいて不可欠な公共サービスを提供)を資本市場に開放しました。

また、英国政府は、4月に発足する新しい英国インフラストラクチャー銀行は、プライベート投資にとって投機的な側面のある分野に注力することを明らかにしました。プライベート投資家は、依然としてエネルギー・プロジェクトの大部分を進めるために不可欠な存在です。実際、政府が今後5年間を対象に発表した合計6000億ポンドのインフラストラクチャー・プロジェクトのうち、フィナンシャルタイムズは半分がプライベート投資によって資金提供されるであろうと述べました。

より環境に配慮した未来への資金提供

次世代のインフラストラクチャーがサステナブルな方法で建設されなければ、サステナブルな未来は間違いなく訪れません。投資家は、インフラストラクチャー投資により、エネルギー移行を正しい方向に積極的に推進することができると同時に、良好なリスク調整後リターンを確保することができます。

特に現在の金利環境において、伝統的な債券と比較したインフラストラクチャー・デットには魅力があります。デフォルトのリスクが同水準の債券と比較した場合、インフラストラクチャー・デットには相対的に高い利回りが依然としてあります。ジュニア・インフラストラクチャー・デットの利回りやスプレッドの水準は、ハイ・イールド債券と同水準もしくはやや下回る水準ですが、信用リスクの水準は決定的に低くなっています。ジュニア・インフラストラクチャー・デットは、BB格のハイ・イールド債と一部の特徴を共有していますが、損失率はハイ・イールド債券の数分の1です。

多くの可能性を秘めた資産クラス

脱炭素目標を達成するタイムスケールがますます差し迫るなか、サステナビリティに貢献するインフラストラクチャーへの投資機会は日ごとに拡大してきています。ダイナミックな市場環境にあるインフラストラクチャー・デットへの投資は、エネルギー転換に貢献すると同時に、従来の資産がプレッシャーを受ける局面においても回復力のあるリターンをもたらすと考えています。

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ジェローム・ネイロウド
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