インフォーカス(約6分)

Q&A: 気候変動に関しどのように企業に働きかけているか

気候変動への対処はビジネス上、重要な意味を持ちます。そのため、投資先企業とのエンゲージメントは重要です。

2023年3月3日
Worker in hi viz vest

著者

Carol Storey
気候エンゲージメント・リード

アクティブ・オーナーシップ・チームの気候エンゲージメント・リード、キャロル・ストーリーは、ファンドマネジャーやアナリストとともに、気候変動への取り組みを投資先企業に働きかけています。アクティブ・オーナーシップ・チームがファンドマネジャーやアナリストにエンゲージメントの戦略を提案したり、ファンドマネージャーに代わってエンゲージメントを行ったりすることにより、長期的な運用成果向上を目指します。

ここでは、企業の気候変動対策とそれが投資家にとって重要な理由、そして私たちがどのように変化を促していくか、簡単にご紹介します。

なぜ気候変動対策に関してエンゲージメントを行うのか?

「気候変動関連の課題と機会にどう対処するかは、企業収益を左右する鍵となります。つまり、投資収益にかかわる問題で、私たちにとって重要です。優れた戦略は、実際に排出量を削減するだけでなく、より強靭なビジネスモデルへの変革、新たな成長分野の発掘、より大きな利益につながる可能性があります。質の低い対策は将来問題を生むことになり、投資収益にも期待できないでしょう。だからこそ、私たちはエンゲージメントによって企業と対話し働きかけを行います。」

エンゲージメントや企業の移行計画から何を知ろうとしているのか?

「企業の気候戦略について、できるだけ多くを知りたいと考えています。そして、彼らが現在と将来直面する課題にどう対処しようとしているのかを示す移行計画を精査したいと考えています。誰が、何を、どこで、いつ、どのように、なぜ、といった点から移行計画を把握します。その情報を活用して、ネットゼロの世界で優れた成果を上げられる企業と、方針を変えない限り低迷する可能性のある企業を特定します。

「具体的には、次のような点です。

目標-排出削減目標とその他の気候関連目標のスピードと規模。業界内の優れた慣行との整合性

組織-気候関連目標を達成するためのガバナンスと意思決定プロセス

行動-目標達成に向けた実際の行動とその行動方針が実施されている理由

進捗と成果-排出量削減実績と地球や人、財務に対する気候戦略による影響

リスクと不確実性-目標を達成できなくなる原因、克服すべき課題、既知のリスクと顕在化していないリスク」

気候変動行動計画の主な要素は?

「対象範囲と期間を含むネットゼロ目標、排出削減目標とその他の気候関連目標の詳細、脱炭素化戦略、財務計画と資本調整、シナリオ分析、「公正な移行」の考慮、バリューチェーンへの関与、気候政策とロビー活動、ガバナンス、リスクと機会、スコープ1、2、3の排出の検証などです。」

他にどのような情報を活用するか?

「移行計画の評価には、企業の情報開示や当社独自の気候モデルのほか、Climate Action 100+、Transition Pathway Initiative、CDP、Science-Based Targetsイニシアチブなどが提供する情報など、さまざまな情報を活用しています。非営利団体であるCDPは、気候問題に関する年次調査に対する企業の回答を評価しています。昨年の調査では、3分の1の企業が移行計画を策定していると回答していますが、 CDPが定める『信頼できる』計画の基準を満たしているのは、わずか1%でした。」

これまでの学びは?

「2022年は企業の対話から多くの学びがありました。たとえば、世界にはセメント事業者の低炭素コンクリート製造を助ける規制がある一方で妨げる規制もあり、国によりさまざまだということです。優れた実践が行われている分野もありました。たとえば、ある金属・鉱業セクターの企業は、最も排出量の多い事業分野を脱炭素化できない場合、従業員を支援するための『公正な移行』計画を導入しています。」

どのように変化を促しているか?

「年次株主総会で移行計画の詳細を十分に説明しない企業も多くありました。たとえば、ある金融セクターの企業は、適切な方向に向かっているものの、ポートフォリオの大部分で暫定目標さえ設定していませんでした。

「たとえば、広範な調査と優良事例との比較を行ったうえで欧州の銀行に詳細なフィードバックを行うなど、企業が気候目標と移行計画への取り組みを強化するのを支援しています。」

著者

Carol Storey
気候エンゲージメント・リード

Topics

アクティブ・オーナーシップ
Net Zero

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