インフォーカス(約6分)

2023年、クレジット市場が世界中で注目される理由

資産クラスとしてのクレジットの勢いが増しつつある中、最高の機会は真にグローバルなアプローチをする投資家にのみ訪れるものかもしれません。

2023年2月27日
Desert hero image

著者

ジャニナ・シベリウス
インベストメント・スペシャリスト
ラジーヴ・シャー
グローバル・クレジット・ストラテジスト

厳しかった2022年が去り、クレジット市場に再び明るい兆しが見えてきました

新しい年、新しい自分、そして投資のための新たなスタート。 そうですよね? 2023年に入り、クレジット投資家は確かにそのような気持ちを抱いています。

この新しい熱気が、ここ数週間クレジット市場を活性化させ、投資家は切望していた分散投資を求めて戻ってきました。 しかし、市場に潜む多くの落とし穴をどのように回避し、今年のクレジット市場で最高の機会を見つけることができるのでしょうか。

インフレ率は依然として高く、各国の中央銀行が引き締め策を続ける中、良いニュースと悪いニュースの両方が目の前にあります。 良いニュースは、中央銀行の引き締め策が効果を見せ始め、インフレがピークを過ぎて抑えられつつあるように見えることです。 このことは、世界市場の格差を利用しようとするクレジット投資家に新たな機会をもたらします。 

米国クレジット戦略の責任者のマーサ・メトカーフは次のように述べています。 「中央銀行による金融引き締めの直接的な影響は、市場ごとに様々なペースで進行しており、各地域の配分とローテーションは2023年、付加価値をもたらす機会を提供すると考えています。 中国市場の再開は、ペースと規模の両方で、地域間格差を一層高めるでしょう。」

インフレ率が少し後退し始めた兆しが見られる

 

クレジット市場

しかし、インフレが後退し始めているにもかかわらず、その傾向は粘り強く残る可能性があります。 このため、中央銀行が長期的に金利引上げを維持するという観測が高まり、投資家がリスクを織り込む形で、クレジット市場における格差の拡大が進行しています。

グローバル・クレジット・ポートフォリオ・マネジャーのリック・レゼックは、金利が上昇することで、最終的には投資家は債券の配分から収益を生み出す機会を得られると考えています。

「金利の上昇は、機関投資家と個人投資家の両方から、この資産クラスへの資金を引き寄せると考えています。 さらに、地域、セクター、発行体間の格差が広がることで、2023年にはアルファを生み出す機会が拡大するでしょう。」

しかし、グローバルに分散投資をすることにはリスクが伴います。 金利上昇を促す中央銀行の政策が成長を妨げ、景気後退局面に陥る懸念があります。 ウクライナでの戦争とエネルギー問題もまた、投資家にとって警戒すべき問題です。年後半には、米国の債務上限が不安定要因となる可能性もあります。

しかし、市場全体を見渡し、各地域のさまざまなセクターから勝ち組を選び抜く能力を持つ投資家にとっては、投資機会は依然として豊富です。

たとえば、中国市場の再開は、パンデミックの規制が解除された後のヨーロッパと同様に、アジア地域の観光とサービス部門の復活をけん引するでしょう。

ヨーロッパも、アジア最大の貿易相手国の復活により、ユーロ圏の国内総生産(GDP)が0.5%増加するとシュローダーのエコノミストは予測しています。 生活コストの増大が予想されたほどではなく、各国政府が急激な経済後退危機にうまく対応したことで、ヨーロッパの景気敏感セクターにも投資機会があると見ています。

輸出は持ち直しつつある

クレジット市場

米国では、社債市場で価格上昇により割安感は薄れるものの、あらゆるセクターで魅力的な投資機会が見出されます。例えば、金融セクターの社債価格動向は他のセクターに劣後していますが、金融機関のファンダメンタルズは、銀行が十分な資本を維持していることから、依然として堅調であると思われます。

地域ごとに異なる様々な市場動向を効果的に活用

地政学的な不安定性の高まりは、過去数年間に政治情勢が悪化している国で製造業を営む企業にとって、頭痛の種となっています。 企業は安定した生産環境を提供する国を探すようになり、多くの企業が自国に近い場所に生産を移転することを決定しています。いわゆる「ニアショアリング」と呼ばれる傾向です。

当然の成行きですが、最大の勝者は、タイ、マレーシア、ベトナム、そしてメキシコ等の国々です。これらの国は、西側諸国、特に米国との関係が良好で、人件費が依然として低水準という共通点があります。

西側諸国からも勝者は出てきますが、見極めにはより慎重な考慮が必要です。このため、今年のグローバル投資においては、アクティブ投資と投資先の慎重な選択が不可欠になります。

グローバル・クレジット・ポートフォリオ・マネジャーのリック・レゼックは、次のように述べています。 「欧米で生産拠点を移し、コストを同レベルに保つことは非常に難しいため、直接の勝者はそれほど明確ではありません。つまり、生産拠点の再編はインフレになるか、収益がマイナスになる可能性があります。とはいえ、生産拠点の再編は、半導体製造企業において見られるように、設備投資集約型であり、債券市場での資金調達を必要とする可能性があります。債券投資家にとっては、より持続可能なビジネスモデルを持つ興味深い企業に資金を提供する機会になるかもしれません」。

このように、クレジット市場は、より高い利回りによるインカムゲインを投資家に提供するだけでなく、利回りの低下とクレジットスプレッドの縮小によるキャピタルゲインの機会も提供すると思われますが、注意すべき地域的な落とし穴もたくさん存在しています。このような投資環境下では、機敏で積極的な投資家が、新たな投資機会を発掘できる最良の位置にいるものと考えます。

 

重要なお知らせ:

本ページは、情報提供を目的として、Schroder Investment Management Limitedが作成したページをシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が抄訳したものであり、いかなる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。英語原文と本ページの内容に相違がある場合には、原文が優先します。本ページに示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。本ページは、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。本資料中に個別銘柄についての言及がある場合は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却等いかなる投資推奨を目的とするものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。本ページを弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。

著者

ジャニナ・シベリウス
インベストメント・スペシャリスト
ラジーヴ・シャー
グローバル・クレジット・ストラテジスト

Topics

フォーカス
債券
社債
市場見通し
グローバル

投資信託に係るリスク・費用について

投資一任契約に関するご留意事項

上記は単なる具体例であり、記載されている証券・部門・国に投資することを推奨するものではありません。

シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第90号

加入協会 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 一般社団法人第二種金融商品取引業協会