臨時レポート

欧州株式:2016年の見通し

2015年12月18日

ローリー・ベイトマン

ローリー・ベイトマン

欧州(英国含む)株式ヘッド

  • 2016年の欧州株式市場は、企業の業績回復にともない上昇すると見込まれます。
  • 株式市場における銘柄間のリターンの相関が低下すると予想される中、銘柄選択を慎重に行う必要性が高まると考えます。
  • クレジット・サイクルと域内需要の改善が見込まれることから、ユーロ圏経済は回復傾向が続くと予想しています。

  MSCI欧州インデックスは、年初来約10%上昇しています(2015年11月末時点、トータルリターン、ユーロ・ベース)。 欧州企業の業績回復を背景に、2016年は株式市場の一段の上昇が期待されます。

欧州企業の利ザヤの拡大余地は大きい

 ユーロ圏企業の利ザヤは、米国企業と比較して低水準に留まっています。世界金融危機以降続いているかい離が今後縮小し、ユーロ圏企業の利ザヤが拡大することは、欧州株式市場にとって支援材料になると見ています。同時に、足元の欧州株式のバリュエーションは、過去の水準や他の株式市場との比較において、割安な水準にあります。

銘柄間のリターンの相関低下が予想される中、銘柄選択が一層重要に

 欧州株式市場全体に対して明るい見通しを維持するものの、各テーマやセクターについては、強弱が交錯した展開になると予想しています。中国当局が2015年夏に人民元の実質的な切り下げを実施し、株式市場への介入を行って以降、銘柄間のリターンの相関が高まりました。米国の利上げ観測や中国経済がハード・ランディングするとの懸念が広がり、先行き不透明感から様々な資産クラスでリスク・オフの様相が強まり、全面安の展開となりました。2016年の株式市場では、銘柄間のリターンの相関が低下し、銘柄ごとのリターンに差が生じる中で、アルファ獲得の機会が増えることが予想され、慎重な銘柄選択の重要性が高まると考えています。

 債券市場および株式市場のいずれにおいても、「高クオリティかつ安全な」銘柄が選好される動きが見られます。ユーロ圏危機の際に、ディフェンシブ銘柄が景気敏感銘柄に対して優位に展開した時と似た状況になっています。社債の国債に対する利回りの格差(スプレッド)は、世界的なデフレ圧力の高まりにも関わらず、大幅に拡大しました。この背景には、世界経済がより難しい局面に入るのではとの懸念があります。世界経済の先行き不透明感は強まっているものの、グロース株とバリュー株のリターンに極端なかい離が見られる中、株価純資産倍率(PBR)の観点からは、異常(アノマリー)なバリュエーションの状況が見られます。

ユーロ圏経済の回復傾向が鮮明に

 ユーロ圏経済の重要な輸出先である新興国の経済は、混乱の様相を呈した2015年夏以降、低迷が続く一方で、ユーロ圏経済は2016年を通じて回復傾向が続くと予想しています。ユーロ圏の主要経済指標は、域内需要の回復、信用の拡大、消費の回復などを背景に、景気回復のペースが加速しつつあることと示しています。ドイツでは、GDPの約75%をサービス業と建設関連業が占めており、これらの産業は堅調に推移しています。また、他のユーロ圏主要国についても、同様の状況が見られます。

 ユーロ圏経済にとって、欧州中央銀行(ECB)による量的金融緩和(QE)は、引き続き下支え要因になると予想されます。足元の企業・消費者調査によると、量的金融緩和の恩恵で、持続的な景気拡大にとって不可欠である信用の拡大が進んでいることが示されています。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後利上げに踏み切れば、欧州における量的金融緩和の継続はユーロ安の要因になると予想されます(12⽉3日、ECBは追加⾦融緩和策の実施を決定しました)。ECBによる支援策の実施により、欧州の経済および株式市場に対する見通しに明るさが増すと考えています

 

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