市場環境
10月は、米国の金利上昇に伴う米株安に加え、中東における地政学リスクの高まりを受けてリスクオフの動きが強まったことから日本株も下落し、TOPIX(配当込み)では-3.0%となりました。TOPIX(配当込み)は年度初来では+13.7%となっています。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
市場動向としては、調整局面の中でディフェンシブな食料品が堅調だったほか、金利上昇を受けて銀行、保険がアウトパフォームしました。一方で、ディフェンシブながら医薬品が大きく下げたほか、鉄鋼、機械、輸送用機器などが大きく下落しました。スタイルやサイズでは大きなリターン差がありませんでしたが、小型株ではグロース株の調整と銀行株に代表されるバリュー株の堅調が顕著になりました。
弊社の主要戦略のパフォーマンスは、コア、サステナブルでアウトパフォームとなったものの、イールド、オポチュニティ、グロースでは若干のアンダーパフォーム、小型、マイクロではスタイル影響が大きくなり比較的大きなアンダーパフォームとなりました。
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
豊田 一弘
日本株式運用総責任者
ファンドマネジャー
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
今回は、今年3月に東証から上場企業に対して出された「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請について考えてみたいと思います。
今回の東証要請のポイントは、上場企業が資本コストに対する意識を高めるための仕掛けとして、PBR(株価純資産倍率)といった分かりやすい指標を提示したことにあると思います。実は、これまでも「コーポレートガバナンスコード」において、資本コストの把握や資本効率に関する目標値の設定、あるいは、その実現のための経営資源の配分に関する説明が求められていました。しかし、実際には期待したような資本効率の改善が進まない企業も多く見られ、投資先企業とのエンゲージメントにおいて改善のスピードが課題となっていたケースもあります。
今回の要請において、PBRといった具体的な株価バリュエーションが提示されたことで、資本コストを上回るリターンの実現、あるいは、資本効率(ROEなど)の更なる向上が上場企業においてより一層意識されるようになると見ています。これは、単にPBRが1倍を超えていれば良いという議論ではなく、継続的な資本効率の改善を目指す取り組みであり、PBRが1倍を超える企業であっても、資本効率の悪化が予想されPBRが切り下がるリスクを有する企業にとっても重要なメッセージであると捉えています。
加えて、資本コストそのものを引き下げる取り組みも重要です。最近では、中期計画などにおいて、事業におけるリスクの取り方を見直しリスクプレミアムを引き下げようとする企業も見れるようになりました。企業の業績見通しに関する精度の向上やIRにおける情報発信の改善など、リスクプレミアムは企業の「経営の質」に対する市場からの評価という側面も有しており、より多くの上場企業において資本コストに関する有効な取り組みが実践されることを期待しています。
このように、今回の東証の要請は日本における上場企業の変革を投資機会ととらえる上で、非常に重要な役割を担っていると考えています。弊社においても、投資先企業とのエンゲージメントを通じて、上場企業のポジティブな変化を実現できるよう努力してまいります。
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