市場環境
12月は、米長期金利の低下を背景に円高が進行、外需関連株を中心に調整色が強まり、海外株式市場は大きく上昇する中でも、日本株は小幅下落となりました。TOPIX(配当込み)は月間では-0.2%、年度初来では+19.6%となっています。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
市場動向としては、大きく上昇した海運の他、化学、サービス、その他製品、機械、陸運などが堅調だった一方、輸送用機器が反落し、銀行、石油・石炭製品、医薬品、ゴム製品、鉄鋼なども下落しました。スタイルでは明確にグロースが強くなり、金融や自動車関連に代表されるバリュー株は軟調でした。規模別では内需中心の物色となったこともあって小型が上昇した半面、大型株が軟調でした。
弊社の主要戦略のパフォーマンスは、全般的に堅調で、グロース優位相場ながらイールドは、コア、小型株と同様にぼぼベンチマーク並み、オポチュニティとサステナブルは若干アウトパフォームして、グロース、マイクロではパフォーマンスを取り戻す形でアウトパフォームしました。
パフォーマンス一覧速報(対ベンチマーク超過収益)
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
金利のある世界
籔谷和子
日本株式 アナリスト
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
シュローダーに勤務して20年以上が経ちますが、2022年12月からの3か月間での海外オフィスからの金融株、特に銀行株への問い合わせ件数は過去最高となりました。地方銀行に関しては過去20年に受けた問い合わせ件数を合算したよりも3か月の質問件数が多かったと思います。マイナス金利解除はまだしも、日本で暮らす私たちには頭の体操としても縁遠い短期プライムレートの利上げまで様々な金利上昇シナリオについて尋ねられ、銀行株への興味の上昇スピードに正直戸惑いを覚えました。
実は問い合わせが急増する前の2022年11月の第2四半期決算発表後の面談から、従来よりも金融政策について銀行の経営陣に質問をしていましたが、海外の同僚から感じる熱量・期待感と実際にビジネスをしている銀行との温度差が大きく、実際に金利が上がらなかったら既に上昇基調だった株価はどうなるのだろうと心配になるほどでした。実際には、2022年12月20日の政策決定会合でイールドカーブコントロール(YCC)の修正が発表され、金融株、特に銀行・生命保険株は急騰、海外投資家の期待値と株価への織り込むパワーを改めて実感する結果となりました。
その後、2023年に入り、マイナス金利政策自体は変わっていませんが、YCCでは10年金利誘導レンジが拡大され、イールドカーブが立つようになり、大手行や地方銀行の一部では国内の貸出金利回りの底打ちや反転が見られるようになってきました。新規貸出でリスクに見合った金利を設定できるか、市場連動金利貸出先に対して契約更改時に金利上昇分を貸出金利に反映できるかは、銀行員の交渉力によって変わってきます。入行してから金利は下がる方向で話をしてきた多くの行員に利上げ交渉をするスキルの継承が先輩行員から行われていたか、コンサルティングも含めた付加価値の高い貸出金を出すことで金利交渉するような研修があったのか、はこれからの差別化要因となるでしょう。
2024年の今年には、海外投資家にも有名になった春闘を経て賃金が上昇し、マイナス金利政策は解除となる、という見方がコンセンサスとなっています。短期プライムレートを上げるところまではハードルが高いという見方は変わっていませんが、政策金利がマイナス金利からゼロ金利、いずれプラス金利まで上がる可能性はありそうです。そうなれば粘着性の高い預金の有無が収益力に差をつける局面も出てくるでしょう。
所謂東証改革の後押しもあり、資本コストやROEへの意識が高まり、多くの経営陣とより深い議論ができるようになりました。一方で経営陣の理解度が上がる余地が高い銘柄もまだ多数存在しており、私たち投資家との議論を通じた変化の可能性に期待をしています。今までは金利環境が「出来ない」理由となっていましたが、これからは金利のある世界で利益を成長させ、資本効率を意識した経営を行うことで、差別化が進んでいきます。その中でいち早く変化の兆しを捉えて投資をしていきたいと考えています。
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