市場環境
6月は、米国における利下げ期待を背景にした半導体関連株や日本の長期金利上昇から金融株などが物色され、特に月末にかけて日本株は続伸しました。TOPIX(配当込み)では+1.5%と小幅な上昇となりました。
出所:Bloomberg
主要戦略運用パフォーマンス
業種動向としては、保険やその他金融、銀行の金融セクター、電気機器、またリバーサルの影響が強くなったサービスや情報・通信などの内需関連も堅調でした。一方で、前月まで大きく上昇した電気・ガス、海運の他、検査不正などのニュースのあった自動車関連などが軟調となりました。リバーサル影響からスタイルではグロース、サイズでは小型が一部パフォーマンスを取り戻す形となりました。
弊社の主要戦略のパフォーマンスは、リバーサルがプラス影響となってコア、小型、マイクロ、グロースは大きくアウトパフォームして、オポチュニティもアウトパフォーム、サステナブルとイールドではほぼベンチマーク並みとなりました。
パフォーマンス一覧速報(対ベンチマーク超過収益)
出所:Bloomberg、シュローダー、各戦略コンポジット(運用報酬控除前)、超過収益は対ベンチマーク、TOPIX配当込及びRussell/Nomura Small Capインデックス、Micro Capインデックス
推し活と消費トレンド
小林 あゆみ
日本株式 リサーチ共同責任者
本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。
「推し活」が流行語大賞にノミネートされ2021年から数年経ちますが、文化として定着しつつあり、その経済効果は今も拡大中です。自分の好きな特定のコンテンツを応援する活動を指す「推し活」及び類語の「ヲタ活」は、ネガティブなニュアンスのあった「オタク」が、デジタルメディアの浸透やミレニアム、Z世代の消費行動特性などを背景に、ポジティブな意味合いで語られるようになった進化系と考えられます。コロナ禍での巣籠需要はその進化を加速させました。「推し活」は、特定の対象に対する強い傾倒がベースにありますが、SNSなど個人が情報発信できるメディアが浸透したことで、例えばアニメ、マンガ、アイドルなどの対象となるコンテンツ市場が細分化し、それを選ぶことで個人のアイデンティティをアピールできる要素が高まっています。若年世代は、世界中の情報にアクセスできる環境で様々な価値観に触れる中で育ったことも影響し、多様性を受け入れる素地が十分にあり、「推し活」をポジティブな活動として受け入れているようです。また、不安定な経済、世界情勢を経験した世代でもあり、身近なところでの共感、繋がりに価値を置く傾向があると言われており、自分の好きなものをSNSで発信し、共感してくれる人の輪を大事にしているようです。「推し活」は、価値観を共有できる仲間とネットでもリアルでも繋がることができる活動でもあり、自己表現の効果的な手段でもあることから、出費を惜しまない重要な活動となっていると言えます。“推し活”は、ロイヤルカスタマーを取りこむマーケティングの切り口となります。
「推し活」向けのビジネスはコンテンツそのものを超えて、多方面で拡大しています。ライブ用グッズなどは100円ショップなどでも品揃えを拡充、サンリオでも自社のキャラクターを使った関連商品を出しています。コンテンツとなるキャラクターが多様化したことは、クレーンゲームの魅力的なプライズの開発にも追い風です。“推し”を身近に感じるための “アクリルスタンド”(キャラクターや人物が印刷されたもの)は、“推し”とのお出かけ、SNSアップ用の写真用など推し活の必需品ですが、成長の見込まれる雑貨の分野として注力する企業もあります。サービスの分野でも広がりがあります。“推し活パック”と称して、推しカラーのドリンク、尊いボタン(声が出る)の貸出しなどを提供するカラオケボックス、“推し”の限定グッズなどが獲得できるNudge社のクレジットカード、JRの「推し旅」など、ビジネスの新しい切り口となっています。ニッチで細分化された市場ではありますが、小型株のエリアでは、恩恵をうける銘柄も多くあります。さらに「推し活」は若年層を中心とした消費行動のようにとらえられがちですが、消費全体のトレンドとしての「モノ消費」から「コト消費」へのシフト、さらに感情的な満足を重視する「エモ消費」、今ここでしか体験できない時間にお金を使う「トキ消費」への流れにも沿っており、今後より高い年代の消費者への浸透も期待できます。消費関連企業の成長余地を考える際の一つの要素として、“推し活”に注目していきます。
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