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2008年の金融危機以降、主要国では同時進行的に景気拡大が続いており、企業収益の見通しは明るいと考えています。このような良好な経済環境は株式市場の支援材料であり、特に新興国株式については強気の見通しを維持しています。
2017年夏以降、米国の財政政策拡張の恩恵を受けるとみられる中、米国金融セクターや米国小型株式など、景気循環性の高い銘柄に注目しています。一方、割高水準にあると判断されるグロース(成長)銘柄に関しては、その投資魅力は低いと判断しています。
低インフレおよび低金利はいつまで続くか?
良好な世界経済見通しを維持している一方、多くの資産クラスでバリュエーション(相対的な割安/割高を判断する指標)の割高感が強まっていると考えています。バリュエーションは、1~3年先のリターン予測には活用できないものの、下振れリスクや損失の可能性を示唆する重要な指標といえます。
今後、景気の拡大を追い風に、インフレの圧力が一時的に上昇する可能性もありますが、人口動態や、テクノロジーの進展などの構造的要因が抑制効果をもたらすことで、上昇余地は限定的と想定しています。このような背景の下、主要国における金融政策の正常化は緩やかなペースに留まるとみています。
一方で、景気サイクルは後期に差し掛かっていると判断されるため、2018年はより慎重なポートフォリオ運営が不可欠と考えています。例えば、インフレ圧力の上昇や、米連邦準備制度理事会(FRB)による流動性縮小が加速した場合に備え、米国インフレ連動債や、債券のロング・ショートポジション(米超長期債の買い建てに対して米10年国債の売り建て)によるヘッジ戦略が有効と考えています。また、金利上昇に備えた相対的に割安感のある資産クラスへの選別的な投資も必要と考えています。
通貨戦略は極めて重要
為替市場では、2017年を通じて米ドルの動向が鍵を握りました。そのような中、高利回りを提供する新興国通貨は、米ドル安の恩恵を受けることから引き続き投資魅力は高いと判断しています。
また、政治リスクによる影響は限定的との見通しの下、リターン獲得の機会が見込めると考え、強気のスタンスを維持しています。
ただし、リターン獲得を追求するということは慢心(リスクに対しての楽観的な評価)を意味している訳ではありません。バリュエーションや経済指標等を注視しながら、ディフェンシブ(保守的な)スタンスを要する局面にも備えています。
分散投資への新たな戦略を追求
多くの資産クラスにおいて期待リターンが低下傾向にある中、代替資産への分散投資に重点を置いた戦略が必要と考えています。例えば、モメンタムなどのファクターに基づいたオルタナティブ・リスクプレミアム戦略を採用することで、市場の上昇・下落局面に関わらずリターン獲得を目指すことが可能となります。2018年も市場環境にかかわらず、リターン追求、リスク抑制、分散投資など、様々な運用戦略を積極的に活用することが、リターン獲得の機会を捉えていく上で重要と考えています。
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