最新の注目チャートをピックアップしてお届けします。今回のチャートは、欧州周辺国の国債利回り、そして2月の株価下落を背景に大幅な価格変動がみられたETFです。
欧州周辺国の国債を取り巻く環境は改善傾向に
欧州周辺国の国債は、欧州債務危機以降金融市場で敬遠されがちでしたが、直近数カ月間で相次ぐ格上げや改善傾向にある経済環境を背景に、その状況は好転しつつあります。
2018年1月にポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインの各国は国債を発行し、強い需要が確認されました。特にスペインでは、100億ユーロの10年国債を発行し、400億ユーロを超える需要がみられました。格付け会社フィッチ・レーティングス(以下フィッチ)は、スペインの長期外貨建ておよび現地通貨建ての発行体デフォルト格付けを「BBBプラス」から「Aマイナス」に引き上げました。フィッチは、広範な経済回復やカタルーニャの独立問題の経済への影響が限定的であったことを理由として挙げています。なお、格付け会社S&Pグローバル・レーティング(以下S&P)はスペインの格付けを「BBBプラス」、格付け見通しを「ポジティブ」としています。また、イタリアにおいても直近の10年および50年国債入札において、強い需要がみられました。
S&Pは、ギリシャの金融および財政の見通しに改善がみられるとして同国の長期外貨建て債務格付けを「Bマイナス」から「B」に2年ぶりに引き上げ、見通しを「ポジティブ」としました。ポルトガルについては、2017年9月にS& Pが同国のソブリン格付けを「BBプラス」から投資適格級の「BBBマイナス」に引き上げたことから、その後ポルトガルの10年国債利回りは約0.4%低下(価格は上昇)しました。また、2017年12月には、フィッチも続いてポルトガルの外貨建て長期債務格付けを「BBプラス」から「BBB」に引き上げました。
ボラティリティ*の急上昇でショート・ボラティリティETFは大幅下落
上場投資信託(ETF)は、個人投資家を中心に人気を集めており、ETF市場は近年急速に拡大しています。
ETFを提供する運用会社は、このETFブームを有効に活用しようと、特殊な戦略を掲げる様々なETFを組成してきました。その一例として、ショート(またはインバース)ボラティリティETFが挙げられ、恐怖指数として知られるVIX指数で計測されるボラティリティが低下するほど利益を得る仕組みになっています。VIX指数はシカゴ・オプション取引所が算出、公表するボラティリティ指数であり、S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティから算出されています。
2017年は株価に大きな変動がなく、ボラティリティが低位で推移したため、「ショート・ボラティリティ」ファンドは、非常に良好な運用成績を収めました。しかしながら、今年2月に資本市場のボラティリティが急上昇したことにより、良好な運用成績をあげているファンドでも、一夜にして崩壊し得ることを露呈する結果となりました。
2月の初めに米国を中心に国債利回りが上昇したことを受けて、株式市場は急落し、ボラティリティが急上昇したことから、「ショート・ボラティリティ」ファンドは大暴落し、10数本の関連商品が取引停止に追い込まれました。例えば、「ショート・ボラティリティ」戦略の代表的ファンドで資産規模の大きいベロシティシェアーズ・デイリー・インバースVIX短期ETN(XIV)は、2018年1月末時点では資産規模が約20億ドルに達していましたが、2月に価格はおよそ95%下落し、早期償還されることとなりました。
*ボラティリティ:価格変動の大きさ
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