競争を避けた欧州ミッドマーケットへのフォーカスにより、速やかに優良資産を組み込むインフラデット戦略

2021年3月25日
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※本稿は、「オル・イン Vol.59」の記事をそのまま掲載したものです。

210 年を超える歴史を持つシュローダー・グループでは近年、プライベートアセットの運用体制を強化しており、幅広いラインアップを世界中の投資家に提供している。

数あるプライベートアセットの中でも、日本の年金・機関投資家に向けて特に推進しているのがインフラデット戦略である。

「シュローダー・グループのオルタナティブ運用戦略は現在、AUM の約10% を占めています。これを25%にまで引き上げるべく、この10 年でプライベートアセットのほぼすべての資産クラスについて、運用会社の買収や運用チームの招聘を進めてきました。

インフラデットについても、フランスを中心に欧州各国の銀行と太いネットワークを持つチームを迎え入れ、シュローダーでの運用も6 年目に入っています」。こう話すのは、シュローダー・インベストメント・マネジメントのオルタナティブ・セールス&プロダクト部長、廿日岩修二氏だ。

同社では2015 年に設定されたシニア戦略1号を皮切りに、4つのシニア戦略と、2つのジュニア戦略を相次いでローンチし、運用実績を重ねてきた。それぞれの目標リターンはシニア戦略が短期金利+ 200bp、ジュニア戦略が短期金利+ 500 ~ 600bp となっている。

欧州大陸の中規模インフラに幅広く分散し、リスクを低減

シュローダーのインフラデット戦略で特筆すべきは、中規模案件に特化し、大型案件への投資を極力避けることだ。その理由について、廿日岩氏は次のように説明する。

「より高いリターンを求めてプライベートアセットの市場が過去10 ~15 年で拡大する中で、投資対象となるプライベートの資産と市場に流れる資金のバランスに変化が生じています。インフラにおいても、大型のインフラ資産はグローバルで見ても数に限りがあり、運用資金のドライパウダーが機関投資家の一つの懸念事項になっています。一方で、中型インフラ案件(ファイナンス規模で平均3 億ドル)は、まだ資金の出し手が比較的少なく、豊富な案件候補の中で、競争を避けた投資が可能です」

加えて、ソーシングのリソースを集中させるために、インフラ資産の民営化が最も進んでおり、セクターの種類も豊富な欧州に投資地域を絞っているという。

コロナ禍で空港を中心とする輸送系セクターのダメージを受けた戦略も少なくないといわれるが、シュローダーのインフラデット戦略への影響は限定的だった。「輸送の中でもグローバルの空港や港湾といったインフラは、コロナ禍の影響を大きく受けましたが、われわれはポートフォリオ全体の5%しか空港に配分しておらず、その影響は軽微でした。2年前は空港がリスクアセットになることは、ほとんどの人が想定していなかったように、将来どのようなリスクが顕在化するかは予測できないため、幅広いセクター分散が今後より一層重要になってくると考えています」と廿日岩氏は話す。

2015 年以降、シニア戦略とジュニア戦略を合わせて21 億ユーロを70案件に投資してきたが、現時点においてデフォルトの発生や減損を出した投資先はゼロだ。もっともインフラ資産は、人々の生活や経済活動の基盤となっていることから、経済活動が停滞する局面においても最後に投資が削減されるアセットである。中でもエクイティ投資家のクッションがあるインフラデット投資は、投資資産の保全という意味ではより底堅い特性を持つ。

シュローダーというと英国のイメージが強いが、インフラデットの運用チームはパリに拠点を構える。業界経験20 年を超える主要メンバーの多様な投資経験と優れたトラックレコードに加えて、元バンカーやインフラ事業会社、インフラファンド等のリレーションを活かし、欧州全域の案件にアクセスしている。フランス以外にも、北欧から南欧まで大陸欧州には魅力的な投資機会が存在し、シュローダーの強固なネットワークを活かして、スペイン、フィンランド、ドイツなど計14 カ国に投資を行っている。

現在、ジュニアの2号戦略を募集中で、2021 年7月にファイナルクローズの予定。シニアの5号戦略も提供に向けて準備中だ。「ジュニアの1号戦略はファイナルクローズから約5カ月でファンドの95%の投資が完了しましたが、2号戦略についてもすでに投資実行済みの案件が4件あります。デット戦略は安定したインカムをご提供する戦略なので、資金のデプロイメントが遅れ、ファンド期間全体でのトータルイールドが落ちないように、速やかに優良インフラ資産をファンドに組み込むことが、運用者が投資家に対してご提供すべき価値だと考えています」(廿日岩氏)。

ここ数年は、日本を含むアジアの投資家にとってユーロ建て投資がヘッジコスト的にも有利に作用しているので、その恩恵を享受するという意味でも、有力な選択肢となるだろう。

「インフラプロジェクトへの投資では、基準金利にフロアが定められていることから、マイナス金利の状況下でもクーポン率に下方硬直性があり、他の債券に比べて魅力的なリターンになることがあります。そうしたインフラデットの強みもぜひ実感していただきたい」と廿日岩氏は訴えている。

 

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