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アクティブマネジャーのミッションを一言で定義するとしたら「金額ベースの累積超過リターンを最大化すること」と表現できるのではないかと思います。構成要素としては、超過リターン、運用資産額に加えて顧客の投資タイミングが関わってきます。結果として、運用主体の収入や利益が増えれば、顧客と運用者双方にとって望ましい形と言えます。
運用戦略の発展段階として、①少額で運用をスタート、②高い超過リターンを実現、③運用実績を看板に運用資産を拡大、④新規販売停止等のキャパシティマネジメントを導入、を想定してみます。先述のミッションを実現すべく、運用戦略の適切なライフサイクルマネジメントを行うためには、運用開始の初期段階から意識して行動することが重要です。
以下、金額ベースの累積超過リターンを最大化するために何ができるかを考えてみます。会社としての取り組みとなると、商品開発や営業戦略なども含まれてきますが、ここでは直接の担当領域である運用部門でできることに絞って議論を進めたいと思います。
リターンを高めるための方策:確信度の高い銘柄に集中する、常に代替候補を用意する、新規アイデア創出のスピードを上げるなどが考えられます。
主に取引コストの観点から運用資産拡大時に支障が生じる要素として、高回転率、上位集中度の高さ、小型株の保有などが挙げられます。緩和策としては、中長期の投資アイデアに絞る、新規組入は人気落ちのタイミングで時間をかけて行う、資金流出入時を活用して比率調整する、急な資金手当てには流動性のある大型株を充てる、調整弁として指数先物を有効活用するなどが挙げられます。
キャパシティを拡大するための方策:投資ユニバースの拡大、銘柄分散、大型株へのシフトなどが考えられますが、超過リターンの希薄化を招かぬよう慎重な配慮が求められます。社内外の他のプロフェッショナルの知恵や力を有効活用する、運用と直接関係の薄い業務は効率化、省力化するなどの取り組みも重要です。
資金流出入のコントロール:最大の難所は投資家の売買タイミングのコントロールです。自然の流れに任せていると、パフォーマンスの天井近辺で資金が流入し、大底近辺で資金が流出するということになりがちで、金額ベースの超過リターン最大化にとっては逆行する要因となります。普段から営業部門や顧客との信頼関係が構築できていることを前提に、一時的にパフォーマンスが悪化している時に強く推奨する、巡航速度以上に好成績な時には抑制的な説明を行うといった働きかけができると理想的です。ただ、「言うは易く行うは難し」とはまさにこのことで、現実にはなかなかうまくいきません。今後もどうしたら成果を上げられるか真摯に向き合っていきたい課題です。
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