再生可能エネルギーが個人投資家に適している理由

これまで個人投資家はインフラ案件への投資機会から除外されてきました。しかし、再生可能エネルギーは現在、リターンとリスク管理の両面で、新たな投資機会を提供しています。

2023年12月22日
Greencoat turbine in Sweden

著者

ダンカン・ヘイル
プライベート・マーケッツ・グループ
ジャック・ワッサーマン
プライベート・マーケット・グループ

200年以上もの間、世界はエネルギー需要を化石燃料に依存してきました。安価で信頼性の高い再生可能エネルギーの出現により、私たちはエネルギー調達における重大な転換を目の当たりにしています。エネルギーの移行は、個人投資家にとって計り知れないチャンスをもたらします。

最近まで、脱炭素化が世界的な再生可能エネルギー拡大の主な推進力でした。しかし、脱グローバル化と、最大のエネルギー消費国におけるエネルギー安全保障の強化の必要性から、この2年間に緊急性が高まっています。重要なことは、再生可能エネルギーは価格も劇的に改善し、化石燃料との競争力を高め、最も費用対効果の高いエネルギー発電形態となりつつあるということです。

IRENAのデータによると、2022年だけで5000億ドル以上が再生可能エネルギーインフラに投資され、その額は2030年までに年間1.3兆ドルまで拡大すると予想されています。

個人投資家はこれまで、特に長期間を必要とするようなインフラ投資などの新たな投資分野への参入に苦戦してきました。規制の変化、投資ファンドやテクノロジーの革新で、個人投資家が政府や大手機関投資家と同じ投資機会に参加できるようになりました。

投資家の需要も変化しており、個人投資家は現在、特にプライベート・マーケットやエネルギー移行関連のインフラ資産への投資を積極的に検討しています。シュローダーが23,950人の投資家を対象に実施したグローバル投資家意識調査によると、46%の投資家がプライベート・マーケットに10~30%の資産配分を望んでいることが判明しました。また、半数近く(47%)が、資産配分を増やしたい資産クラスの上位2つにインフラストラクチャーと再生可能エネルギーを挙げています[1]。

ここでは、リスク、リターン、インパクトという主要な考慮事項を取り上げ、これらの投資がどのように個人投資家のポートフォリオに適合するかを検討します。

個人投資家のための再生可能エネルギー:リターン

先進国における典型的な再生可能エネルギー投資ポートフォリオは、バイ・アンド・ホールドベースで年率8.5~10%のリターンが期待されています[2]。これは上場株式と同水準です。シュローダーの調査によると、株式は時価総額と地域的フォーカスに左右されるものの、今後30年間で年率6~9%のグロス・リターンを達成すると予想しています[3]。

さらに、経済の脱炭素化に必要な隣接技術を考慮すると、投資家により大きなリターンをもたらす機会が見えてきます。例えば、重工業向けのグリーン水素、短時間で稼働するバッテリー蓄電システム、暖房や冷房の電化、輸送の電化など、いずれも現在より高いキャッシュフローを生み出す機会を提供します。また、投資対象として認められるようになるにつれ、資本価値も向上するはずです。

再生可能エネルギー:リスク管理

再生可能エネルギーからのリターンは魅力的ですが、この資産クラスが個人投資家に適する理由は、そのリターンの生み出され方にあります。

他の資産と同様、再生可能エネルギーへの投資は個人をリスクにさらします。リターンは事実上、こうしたリスクを負うことに対する対価です。再生可能エネルギー・インフラストラクチャーは、ポートフォリオに組み入れなければ勘案しなくてよいリスクに投資家をさらすことになります。このような様々なリスクプレミアムは、分散をもたらします。以下では、これらのリスクと、それらがポートフォリオの行動に与える影響について詳しく説明します。

インフレ - 再生可能エネルギーのリターンは、多くの場合、地域のインフレと機械的に連動する可能性のある支払いの流れ(多くの場合、政府の支援やサポートを受ける)を通じて、インフレに明示的に連動しています。インフレに積極的にさらされることは、ポートフォリオの実質購買力を維持するのに役立つため、再生可能エネルギーに投資する際に重要なメリットとなります。

正の電力価格リスク - 再生可能エネルギーなどの発電資産は、エネルギー価格の上昇から恩恵を受けます。これとは対照的に、上場株式や社債は通常、電力価格の上昇によるマイナスの影響を受けます。これは2022年を通じて実証されており、エネルギー価格の高騰は「生活費の危機」に影響を与えただけでなく、企業にも悪影響を与えました。対照的に、再生可能エネルギーのポートフォリオは電力価格上昇の恩恵を受け、力強いキャッシュフローとリターンを実現しました。

資源/天候リスク - 風力と太陽光は、投資家のポートフォリオにおける他のリスクとは分散しています。来週や1ヵ月後の天候を予測することは困難ですが、30年間の資産寿命を考えると、はるかに予測可能です。当社のデータによれば、10年間の風力発電の結果は、2%の標準偏差を示しています[4]。太陽光発電の標準偏差はさらに低くなります。

テクノロジー – 各テクノロジーに特有のリスクは、投資家にリスク・プレミアムのもう一つの源泉を提供します。例えば、バイオマス発電所の運転上の留意点は、風力発電所や水素発電所とは大きく異なります。繰り返しになりますが、このリスク・プレミアムが投資家にもたらす主なメリットは、より幅広いポートフォリオへの分散です。

地理/政策 - 気候変動、世界的なエネルギー安全保障への懸念、再生可能エネルギーの手頃な価格などが合わさり、エネルギー移行の加速を支援する政策や規制が推進され、グリーン補助金競争が生じています。米国のインフレ抑制法のような重要な法律が起草され、これにより投資の枠組みが提供され、投資家に世界的な政治的支援による信頼を与えています。

これらのリターン・ドライバーとリスク・プレミアムは、特に投資家が上場株式へのエクスポージャーが高い場合に、強固な分散を実現するはずです。 

再生可能エネルギーは、すでにこの分野に投資を行う機関投資家にとって、2022年には切望されていた分散化をもたらしました。

投資におけるポジティブ・インパクトのニーズに応える

エネルギー移行への投資が経済的に有益であることは否定できませんが、サステナビリティやインパクトの面でも重要なメリットがあります。個人投資家は、投資先が単に被害を避けるだけでなく、気候変動のソリューションに貢献することをますます期待するようになっています。

再生可能エネルギーやエネルギー移行に沿ったインフラストラクチャーは、生産されるグリーン電子や、家庭や電気自動車の動力源として、具体的に測定することができます。そのため、これらの資産によるネット・ゼロ経済への貢献が明らかになります。また、このサステナブルな資産クラスへの投資は、クリーン・エネルギー発電の構造的な環境上のメリットにとどまらず、地域社会や地域の生物多様性へのサステナブルなアプローチを必要とすることも明らかです。

2022年は、投資家にとってこれら3つのポイントすべてが明確にクローズアップされた年でした。インフレとエネルギー価格の両方が急騰したため、公開市場は市場のボラティリティから限定的なシェルターを提供しました。上場投資信託やセミリキッドのプライベート・マーケット・ビークルから伝統的なクローズドエンド型LPまで、プライベート・アセット投資は、より幅広い投資家に適したストラクチャーで、気候変動の影響に対処しながら、より良い成果をもたらしています。

[1] Global Investors Survey 2023:2023年5月26日~7月31日にかけて、世界33カ所、23,950人の投資家を対象に実施された独立機関によるオンライン調査。

[2] 出所: シュローダー・グリーンコート予測。予想数値の達成を保証するものではありません。バイ・アンド・ホールドのIRRは、資産の予想耐用年数(通常は25~40年)にわたる投資について、エグジットがなく最終価値がゼロであることを前提としています。

[3] 出所: 長期的な資産クラスのパフォーマンス: 30年間のリターン予測(2023~52年)

[4] シュローダー・グリーンコート2023年

【本資料に関するご留意事項】

本資料は、情報提供を目的として、シュローダー・キャピタル(以下、「作成者」といいます。)が作成した資料を、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が和訳および編集したものであり、いかなる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。英語原文と本資料の内容に相違がある場合には、原文が優先します。本資料に示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。本資料は、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。本資料中に個別銘柄についての言及がある場合は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却などいかなる投資推奨を目的とするものではありません。また当該銘柄の株価の上昇または下落等を示唆するものでもありません。本資料に記載された予測値は、様々な仮定を元にした統計モデルにより導出された結果です。予測値は将来の経済や市場の要因に関する高い不確実性により変動し、将来の投資成果に影響を与える可能性があります。これらの予測値は、本資料使用時点における情報提供を目的とするものです。今後、経済や市場の状況が変化するのに伴い、予測値の前提となっている仮定が変わり、その結果予測値が大きく変動する場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。本資料中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、本資料の作成者あるいは提供者はいかなる責任を負うものではありません。シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。本資料を弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。

著者

ダンカン・ヘイル
プライベート・マーケッツ・グループ
ジャック・ワッサーマン
プライベート・マーケット・グループ

Topics