シュローダー(本社:英国 ロンドン)は、オックスフォード・サイエンス・イノベーション(OSI)社とともに、世界の自然資本*を評価するナチュラル・キャピタル・リサーチ(NCR)社のオンライン・プラットフォームの開発を加速するため、最先端のAI技術と空間分析に投資を行うことを発表しました。
*自然資本とは、炭素隔離、土壌浸食の防止、洪水リスクの軽減、野生生物の生息地、レクリエーションや福祉のための空間など、重要な生態系サービスを提供する自然の役割を示す言葉であり、世界中の人々やコミュニティに対して重要な社会的利益をもたらすものです。自然を自然資本として捉え、資産としての真の価値を認識するという概念は、急速に広がっています。自然資本という言葉は1970年代にはじめて使われましたが、現在では自然資本を経済的資産として捉える声が高まっており、国連は各国政府に対しGDPの枠を超えた評価を求めています。
2018年に設立されたNCRは、科学的データに基づき世界の自然資本を評価することに特化しています。最先端のモデルを用いて、企業等の保有地が有する自然資本を特定し、その価値を評価します。対象には、炭素貯蔵・隔離、土壌侵食の防止、洪水リスク管理、生物多様性、水質管理などにとって重要な自然資本が含まれます。また、自然資本の価値を高めるための助言や、時間の経過に伴う価値の変化を報告・検証するためのツールも提供しています。
NCRは、科学的根拠に基づく最先端のオーダーメイド・ツールをはじめ、土地所有者や企業に対して数多くの注目すべきプロジェクトを提供してきました。ESG、生物多様性、炭素排出量ネットゼロ戦略の発展に資する科学的に精度の高いサービスを行っています
シュローダーとOSIが投資を行うNCRのプラットフォームは、二酸化炭素や生物多様性などに対するモニタリングや評価が拡大する中、アセットオーナーや資産運用会社にとって不可欠なツールになると考えられます。また、自然由来の炭素クレジットや、洪水リスク管理、水質、土壌改良における自然資本の活用を最高水準で検証できる可能性も秘めています。
ナチュラル・キャピタル・リサーチ ディレクター キャシー・ウィリス教授のコメント:
「自然を資産の一つとして捉え、企業が他の資産と同じバランスシートでとらえることは、もはや特異なことではなくなってきています。世界中の政府、企業、個人は、自然資本には炭素貯蔵・隔離にとどまらない重要な価値があることを理解し始めています。
現在、これらの重要資産を特定・評価し、どう強化するかという流れが加速しています。自然資本に対する評価体制を強化する取り組みにおいて、シュローダーやOSIと協力できることを嬉しく思っています。彼らは、自然資本に投資することの大きな可能性、カーボンオフセットやESGにとどまらず、世界的な生物多様性の喪失を食い止め、貴重な生態系を回復させる可能性に対し、最先端の理解者といえるでしょう。」
自然資本の保全はかつてないほど重要視されています。2021年6月30日、英国の環境監査委員会(EAC)は、国内の生物多様性の残存率がG7中で最も低いという重大な懸念のもと、生物多様性と生態系の保全・回復を政府に促す発表を行いました。EACは、加速する生物多様性の喪失に対処するためには、現在の政策や目標が不十分であるとして、生物多様性政策の大幅な改善を求めました。
シュローダー グループCEO ピーター・ハリソンは次のようにコメントしています。
「企業や金融業界は、あまりにも長い期間、成長と会計上の利益に注目してきました。自然資本への影響を適切に考慮しない会計は、長期投資家に重大な影響を及ぼします。ナチュラル・キャピタル・リサーチは、自然資本の評価方法を根本的に変える可能性を秘めています。彼らのデータに基づく科学的なアプローチは、刺激的な協力関係の基盤となっています。」
オックスフォード・サイエンス・イノベーション プリンシパル マーティン・ファインズ氏のコメント:
「OSIは、自然資本の分野で精度の高い評価を提供しモデルの強化を行うNCRの取り組みに参加できることを嬉しく思います。」