お客様本位の業務運営の取組状況(2024年6月)
お客様本位の業務運営の取組状況(2024年6月)
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)は、資産運用を唯一の事業として展開するシュローダー・グループ(以下「シュローダー」といいます。)の一員として、「お客様本位の業務運営に関する方針」に基づき継続的な取り組みをしております。過去1年の主な取組みにつきましてご報告いたします。
1. 資産運用業者としての役割(金融庁原則2・当社方針1に対応)
<運用パフォーマンス>
シュローダーが考える資産運用会社の役割の1つである「投資家の皆様の様々な投資目的達成のサポートをする」という点において、アクティブ運用商品を主体とするシュローダーにとっては「中長期の観点でいかに良い運用パフォーマンスを提供できているか」ということが重要な目標だと考えています。
シュローダーでは、その数値(Client Investment Performance)をグループ全体の成果指標(KPI)として公表しています(注)。
それぞれの商品が所属するカテゴリーにおいて、そのパフォーマンスが比較すべき適切な対象(ベンチマーク等があるものはそれらとの比較、指定リターンがあるものはそれとの比較等)を上回っている商品残高のシュローダー全資産に対する比率をKPIとしています。
シュローダーでは3年パフォーマンスの比較で少なくとも60%の資産が「比較すべき適切な対象」を上回ることを目標にしています。
<成果指標> | 2023年 | 2022年 | 2021年 |
---|---|---|---|
3年パフォーマンス | 60% | 73% | 79% |
5年パフォーマンス | 77% | 76% | 78% |
<機関投資家としての行動>
シュローダーが考える資産運用会社のもう一つの役割は「資本市場の責任ある機関投資家として行動する」ことであり、当社は日本株の運用拠点として日本の資本市場に対してその責務を担っています。
当社は2020年9月、「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」が公表した日本版スチュワードシップ・コード再改訂版に基づいた実施方針を公表しています。詳しくはこちらをご覧ください。
議決権行使については、株主の長期的利益を最大化するという観点から重要なものと位置付けており、建設的な対話を促進する目的から議決権行使結果の個別開示を行っています。詳しくはこちらをご覧ください。
2.ESG、社会貢献(金融庁原則2・当社方針1に対応)
ESG(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governance)という課題は、企業が長期的な成長を目指す点において重要な要素になっています。投資においてもESGを考慮することが持続的な成長を期待できる企業を見極める上で不可欠であると考えています。シュローダーは従来よりESG投資に積極的に注力しており、その包括的なアプローチは国連責任投資原則(PRI)において2020年まで6年連続で最高格付け(A+)を取得しており、PRIによる新しい年次評価においては2022年を対象とした2023年評価で日本株運用を含むファンダメンタル・アクティブ株式運用の五つ星をはじめ、前年から引き続き四つ星から五つ星を各運用セクションで取得しています。また運用する全ての資産クラスにおいて社内認証制度に基づいてESGインテグレーションを2020年末に完了しています。詳しくはこちらをご覧ください。
社会貢献の一環としては、コーポレートスポンサーとして協賛している一般社団法人日本CFA協会が主催するセミナーやカンファレンス、その他の対外的なイベント等を通じて、ESGの推進や普及に取り組んでいます。
また、社内に設けられたチャリティ委員会において毎年、社会や環境の問題に向けたボランティアや募金活動等を積極的に行っております。シュローダー・グループのグローバル・チャリティ・キャンペーンによる世界の紛争・災害地域等への支援、国内における教育支援ボランティア、植樹活動に加え、毎年FITチャリティ・ランにも参加しています。
3.利益相反に関するガバナンスの実行状況(金融庁原則3・当社方針2に対応)
投資信託の設定・償還等を決定するプロダクト・コミッティにおける利益相反の可能性を含む検討内容の妥当性、分配金の決定プロセスの妥当性、信託報酬の妥当性、「お客様本位の業務運営に関する方針」に則った業務執行がなされているか等を検証しています。ファンド・ガバナンス委員会(2017年4月設定)は投資信託の設定・運営・管理態勢等をモニターする監督機関として業務執行から独立し、取締役会に直結する機関として半年ごとに開催しています。
また、上記以外の利益相反管理状況は、四半期開催のコンプライアンス・コミッティにて適宜報告されています。
当社では、営業部門と運用部門を有しているものの、運用部門における投資判断の意思決定は運用パフォーマンスを追求することのみに基づいており、運用部門の評価、報酬体系も運用パフォーマンスに連動しています。
また、2022年3月にグループの不動産投資ビジネスの国内担当部門としてリアル・エステート部を立ち上げておりますが、物理的に隔離するなど情報管理を厳格に行って適切な利益相反管理態勢を構築しております。
4.情報のわかりやすい提供(金融庁原則4及び5・当社方針3に対応)
(1)手数料等の明確化
<目論見書等における情報提供>
交付目論見書の「ファンドの費用・税金」において、購入時に支払う販売手数料、継続的に支払う信託報酬とその内訳および投資先ファンドにかかる費用等について、どのようなサービスの対価なのか、何に関するコストなのか、支払われるタイミングや基準価額への影響なども含めて、出来る限り具体的かつ平易な言葉で情報提供しています。公募ファンドに組み入れられる当社私募ファンドなどについても、組み入れ先のファンドの目論見書および運用報告書において適切に手数料等が開示されるよう、情報提供しております。また、ファンドの総経費率について、運用報告書に加え、目論見書においても改版都度、開示を始めました。
(2)重要な情報の提供
<重要情報シートにおける情報提供>
重要情報シートを通じてお客様へ適切な情報開示がなされるよう、取扱い販売会社へ各々の商品が想定している、顧客属性や商品特性につき、情報提供を行っております。主要な投資リスクについては簡潔にリスクの内容を説明しています。
<目論見書等における情報提供>
目論見書を通じて提供する公募投資信託の投資対象・ファンド目的を明示し、また投資リスクについてもわかりやすく理解出来るように情報開示を行っています。優先的にお客様に伝えるべき内容が発生した場合には、目論見書の1ページ目に掲載する等して伝わる開示に努めています。
<ホームページにおける情報提供>
ホームページを通じたお客様への情報提供を積極的に進めています。シュローダーが提供する様々な情報の中から、日本のお客様への重要情報を厳選して日本語でのレポート提供を行っています。定期的なマクロ経済、市場レポートに加え、様々な投資環境レポートやイラストを中心にしたグラフィック動画等を配信しています。
(3)パッケージ化情報と比較可能性
<重要情報シートにおける情報提供>
重要情報シートを通じて、提供する商品、サービスの比較がお客様において可能となるように具体的な投資対象や投資目的、パフォーマンスの情報共有を行っています。
パッケージされた投資先ファンドの個別購入の可否についてファンドタイプ(ファミリーファンド、ファンド・オブ・ファンズ等)毎に明記しています。
<目論見書等における情報提供>
顧客が各種金融商品と比較がしやすいように目論見書を通じて提供する公募投資信託の手数料を開示しています。また運用報告書を通じて組入れ銘柄の情報開示や各種コストについても公表を行っています。実績ベースでの投資先ファンドの費用を含めた総経費率について、運用報告書で開示している内容を目論見書においても改版都度、開示を始めました。
(4)お客様の取引経験や金融知識に見合った情報提供
<重要情報シートにおける情報提供>
重要情報シートを通じてお客様へ適切な情報開示がなされるよう、取扱い販売会社へ各々の商品が想定している、お客様層や商品特性につき、情報提供を行っております。リスクの内容については、目論見書より短く平易な言葉で補足説明を追加しております。
<目論見書等における情報提供>
投資経験の少ない方や豊富な方も含め様々なお客様が投資を検討される公募投資信託においては、交付目論見書において、商品の内容について出来る限り具体的かつ平易な言葉で情報提供し、文字を大きく、レイアウトをみやすくする等の工夫に努めています。公募ファンドに組み入れられる当社私募ファンドなどについても、組み入れ先のファンドの目論見書および運用報告書において適切に情報開示されるよう、情報提供を行っております。投資信託の運用報告書では、運用者コメントにおいて専門用語の補足説明等を適宜行い、グラフ表現の分かりやすさのほか、ファンドのパフォーマンスを恣意的によく見せることのないよう努めております。
<ホームページにおける情報提供>
重要情報はトップページや商品特色のページに配置し、各種情報を提供するにあたっても目的ページまで平易に遷移しやすくするための構成にしています。
(5)提供する商品性に見合った情報提供
<重要情報シートにおける情報提供>
重要情報シートを通じてお客様が提供する商品、サービスの商品性を十分に理解できるように投資対象や投資目的の情報提供を行っています。またリスク、リターンなどのパフォーマンス情報についても情報提供を行っています。また、新NISA対象ファンドの該当性の有無についても明記しております。
<目論見書や販売用資料などを通じた情報提供>
ホームページや関連ファンドの目論見書、月報、運用報告書等において、お客様が正しく投資判断ができるよう、具体的なファンドの状況について説明していくなど、時勢に応じた情報提供を適時に行っております。特にESGファンドにおいては、運用プロセスにおけるESG要素の勘案方法、目標とする基準や評価方法等のほか、ESGファンド固有のリスク、スチュワードシップ方針等について目論見書へ記載し、目論見書に掲げたESG目標の達成状況を運用報告書にて開示しております。また、新NISA対象ファンドの該当性の有無についてもお申込みメモに明記し、該当があるものは改版都度、目論見書の表紙にも明示しております。
販売用資料、勉強会用資料、QA、顧客向け簡易資料等顧客の理解を深めるために様々な資料を準備するとともに、販売会社向けの勉強会を実施するなど顧客の理解が深まるような取組を実施いたしました。
(6)情報の重要性に見合った情報提供
<目論見書等における情報提供>
交付目論見書において、形式的な記述や業界通念にとらわれずファンドの内容がきちんと伝わる“実態のある情報開示”を目指しています。「投資リスク」や「お申込みメモ」等の項目では、より要点が明確に分かる“濃淡のある情報開示” と共に、時勢に沿ったリスク開示に努めています。また、優先的にお客様に伝えるべき内容が発生した場合には、目論見書の1ページ目に掲載する等して伝わる開示に努めています。
<ホームページにおける情報提供>
重要情報、特に誤解が生じやすいと思われる商品特色、リスクについては大きなフォントサイズや赤い字などにより注意を促すとともに平易で分かりやすい表現にしています。
5.お客様に適した商品・サービスの提供(金融庁原則6・当社方針4に対応)
商品やサービスの提供においては、お客様の投資ニーズの把握に努め、お客様の長期的な投資目的の達成に資するよう、グループの運用戦略、国内外の投信市場の様々なデータ分析・検討を総合的に行うことで最適な商品の開発・提供を行うことを常に念頭に置いています。営業部門内に設置した商品戦略担当チームが海外拠点のプロダクト戦略担当者と協働して、シュローダー運用チームからのアイディア提供、国内外の投信市場情報および日々の販売会社とのヒアリングを通じて、個別商品案の議論だけでなく中長期の観点から幅広い商品アイディアの検討を継続的に行っています。
シュローダーは、お客様の多様な投資ニーズにお応えするために「運用力(ストラテジック・ケイパビリティズ、Strategic Capabilities)」をビジネスの中心に据えています。シュローダーの持つ運用力を-カテゴリーに分け、将来の資産形成を考える個人のお客様からグローバルな取り組みを図る機関投資家のお客様まで、それぞれの状況や目的に合わせた最適な商品・サービスの提供に努めています。
シュローダーでは、毎年、「投資家意識調査(Global Investor Study)」を実施しています。投資態度、関心事、懸念点等をグローバルに調査し、地域ごと、国ごとの違いなども分析しながら、商品・サービス提供の向上につなげています。
<外部からの評価>
外部機関からのアワード等の受賞は、当社が提供する商品のパフォーマンスや品質向上への取組みへの成果ととらえています。
本年は以下のファンドが受賞いたしました。
『LSEG リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2024』
確定拠出年金部門 債券型 日本円(評価期間10年)「最優秀ファンド賞」: シュローダー年金運用ファンド日本債券
当社は、販売会社へのヒアリングを含む営業部門内に設置したプロダクト・アイディア・グループでの検討を踏まえ、お客様の状況や目的に合わせた最適な商品・サービスの提供に努めています。
当社は、重要情報シートを通じてお客様へ適切な情報開示がなされるよう、取扱い販売会社へ各々の商品が想定している、顧客属性や商品特性につき、情報提供を行っております。
また、当社は、重要情報シートを通じてお客様が提供する商品、サービスの商品性を十分に理解できるように投資対象や投資目的の情報提供を行っています。またリスク、リターンなどのパフォーマンス情報についても情報提供を行っています。
当社は、投資信託の設定・償還等を決定するプロダクト・コミッティにおける検討内容の妥当性、分配金の決定プロセスの妥当性、信託報酬の妥当性、「お客様本位の業務運営に関する方針」に則った業務執行がなされているか等を検証しています。2021年2月には公募投資信託毎に想定する顧客属性の検討を行い、基本的な対応方針を決定しました。また、情報を提供できる体制を確立しました。
当社が取り扱っている金融商品には複雑なものも含まれることから、お客様の属性に応じて必要な金融知識の提供が行えるよう、自主的な社内勉強会を随時行うことで、金融商品に対する理解を深めるよう努めています。
なお、当社は投資運用業を行っていることから、金融庁原則6の注のうち、注3及び注5のみ該当し、注1、注2及び注4については該当ありません。
6.従業員の育成、評価(金融庁原則7・当社方針5に対応)
シュローダーはグループ全体で、毎年「従業員の意識調査」を行っています。従業員がシュローダーを仕事場としてどのように考えているか、最善の商品・サービスを提供できているか、専門家としての知識・経験の習得に何が必要か等を確認し、職場環境や経営戦略、業務推進の改善に結びつけています。
2024 年2月に実施したパルスサーベイ形式の「従業員の意識調査」ではシュローダー全従業員の 87%が「シュローダーで働くことを誇りに思う」と回答しています。2−3分で回答可能なパルスサーベイ形式の調査を数ヶ月に一度実施して、従業員の心身の健康を確認する他、マネジメント・メンバーと従業員との対話の機会を増やし、迅速な施策を講じております。
2020年度から、経営層が従業員と1対1で話し合う機会を年に1度設けています。経営層と従業員との自由な意見交換を通じて、相互理解と信頼関係の向上に注力しています。
2021年度からは、従業員が主体となって目標達成に向けた取り組みをマネジャーと話し合う「チェック・イン」という仕組みを取り入れ、業績評価に留まらず、従業員の成長を促進する機会を積極的に推進しております。 また、タイムリーにフィードバック(意見や感想)を提供し合うことを通じて、お互いを高めあう文化を醸成することにも注力しております。
2023年度には、新たにシュローダー・グループ内でのみ使用可能な人工知能(AI)アシスタント“GENIE(ジーニー)”のアプリケーションを導入致しました。従業員の情報収集力を高め、業務効率化を促進する取り組みとして、従業員の効果的な活用を促しています。
優秀な従業員が安定して働くことができる環境を整備することは、お客様に対して質の高いサービス・商品・運用を提供するための重要な要素だと考えています。
出社勤務、在宅勤務の別によらず、従業員の働き方に柔軟に対応できる社内のデジタル・ラーニング・プラットフォームを活用した複数の研修プログラムを実施しております。 定期的なコンプライアンス研修をはじめ、業務知識の向上、強みにフォーカスしたリーダーシップなど、いかなる状況下においても従業員に必要とされる能力・スキル向上の為の研修を強化しております。
7.「お客様本位の業務運営に関する方針」の確認
当社は2017年6月に方針を公表して以来、方針に則った業務運営を常に心がけ、受託者責任を全うすべく取り組んでいます。2023年6月に方針の内容を改めて見直し、必要な文言の修正や追加を行いました。今般、方針の内容を改めて見直し、現時点では文言の修正や追加を行うことなく、引き続き可能な限りの取組みを行っていくことを確認いたしました。
以上
(注)シュローダーがグループ全体のKPIとして掲げている指標の詳細についてはSchroders PLC Annual Report and Accounts 2023をご覧ください。