インフォーカス(約6分)

マクロ経済見通し 2023年7-9月期

2023年9月11日
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基本シナリオ

米国

2023年4-6月期の米国GDPは2.1%(前期比年率)と底堅いものとなり、7-9月期はさらなる成長が見込まれます。景気後退局面入りする可能性が低下したことを受け、2023年の米国経済成長率見通しを2.3%、2024年は1.1%に引き上げました。経済成長率がより高いことから、インフレ減速のペースはより緩やかになることが見込まれ、2023年のインフレ率見通しを4.2%、2024年については2.8%としています。経済成長率見通しの上昇と、より粘着性の高いインフレを背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)による最初の利下げの予想時期を2023年12月から2024年3月に調整しました。その後、FRBは2024年に徐々に金融緩和を進め、2024年末時点では政策金利を3.75%まで引き下げると考えます。

ユーロ圏

エネルギー価格ショックは収束しつつありますが、食品、サービスのインフレ率が高止まりしています。これを受け、欧州中央銀行(ECB)は2023年12月に最後の利上げを実施し、リファイナンス金利を4.5%まで引き上げると考えます。 2023年のインフレ率(HICP)見通しは5.4%、2024年には2.1%に低下すると考えており、ECBは2024年末時点でリファイナンス金利を2.75%まで引き下げると考えます。インフレの減速により、実質可処分所得は上昇が見込まれますが、金利上昇の影響が出始めると考えます。2023年のユーロ圏の経済成長率見通しは、0.6%に減速し(2022年は3.5%)、2024年は1.0%に上昇すると考えています。

英国

景気後退は辛うじて回避されることが見込まれますが、景気は停滞することが予想されます。高いインフレ率を背景にイングランド銀行(BoE)はさらなる金融引き締めを実施することから、2023年の英国の経済成長率見通しは0.6%、2024年は0.3%としています。2023年のインフレ率見通しは7.3%(2022年のインフレ率は9.1%)、2024年は3.1%に減速すると見込んでいます。政策金利は2023年末までに6.0%に達し、2024年4-6月期に利下げを開始した後、2024年末時点では4.5%に引き下げられると考えます。

エマージング諸国

労働市場と住宅市場を巡る問題が重しとなったことから、中国経済の再開に伴うサービス活動の回復は、より広範な経済成長には結び付きませんでした。経済活動はモメンタムを消失したほか、当局による一連の経済政策を考慮しても、急速な回復は見込まれないと考えます。製造業輸出の回復が幾分の下支え要因となる可能性はありますが、2023年の中国の経済成長率は4.8%、2024年は4.5%を見込んでいます。その他のエマージング諸国では、インフレ率の低下と利下げが2024年の経済成長の下支えとなると考えます。

今後想定される他のシナリオ

基本シナリオは、前回よりもリフレーションの方向に調整しましたが、リスクは総括してスタグフレーションに傾斜しています。基本シナリオ以外で今後想定される景気シナリオについて、最も可能性の高いリスクシナリオとしては、スタグフレーションシナリオの「供給サイドによるインフレ」、次いで、スタグフレーションシナリオの「コモディティ価格の上昇」とリフレーションシナリオの「消費者の弾力性」を想定しています。

世界の実質GDP成長率見通し

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