議決権行使

議決権行使の考え方

議決権の行使指図に係る基本姿勢

当社では、投資家から委託された資金の運用に際して投資先企業に対し議決権を行使することについて、直接的・間接的に、その必要性を認識しています。すなわち、直接的には、適切な企業統治行動をとることが投資家の投資利益に貢献し、また、間接的には、企業活動の適正な評価と監視行動を通じて資本市場の機能を高め、投資家の投資利益に貢献するものと考えます。この認識に基づき、投資家に対する受託者責任を果たすため、株主価値の長期的な最大化を目的基準として社内規程を定め、議決権の適正な行使指図を行います。

なお、外国株式に係る議決権行使については、当該国の実情に応じてその指図を行うものとします。

株主議決権行使に係わる基本原則 (国内株式)

  1. 運用部門スチュワードシップ担当は、社内アナリストのリサーチを踏まえ、適宜外部助言機関等からの助言を受け、議案ごとに社内ガイドラインに照らして十分に審査した上で、議決権行使の指図内容を決定します。要精査議案と判断した議案については、スチュワードシップ委員会で討議の上、対処方針を決定します。
  2. スチュワードシップ委員会は、各提案項目に係わる株主議決権の行使にあたり、当該提案において示される企業統治(コーポレートガバナンス)の姿勢が適切なものであり、その提案内容が長期的な観点から該当銘柄の企業価値を高めるものであるかどうかを第一義的な判断基準とします。
  3. スチュワードシップ委員会の判断は、下記の「株主議決権行使に係わるガイドライン」に準拠するものとします。下記に列挙されていない事項に係わる判断については、当基本原則に基づき行うものとします。

    なお、企業の反社会的行為等への対応については、「環境問題や社会問題に一定の配慮をしつつ経営されている質の高い企業は、競争に勝ち残り且つ株主にとり長期的な便益を提供する可能性が高い」という基本的な観点に立ち、投資家の利益を最優先に踏まえた上で、環境的、社会的、道徳的な規範が受容できる基準に達していないと判断される企業に対峙するとともに、それらの企業の行動が望ましい水準に到達するよう、各業界において模範的な行動基準が広範に採用されることを促進させるべく、議決権行使を行うものとします。
  4. 計量株式運用の場合は、スチュワードシップ委員会は、計量株式運用の趣旨に鑑み、一般的な議決権行使の指示、及び特定の議決権行使の指示にかかる方針を見直す権限を持つものとします。

株主議決権行使に係わるガイドライン (国内株式)

  1. 計算書類/監査報告書

    承認する。
  2. 剰余金処分

    配当性向が妥当な水準であるか検討を行い、配当性向が正当な理由がなく継続的に低い場合や、配当が過大であり長期的に企業財務の健全性が懸念される場合には反対を検討する。
  3. 取締役選任

    原則的に賛成する。但し、業績に深刻な問題がある場合、あるいは、違法行為があった場合やその疑義がある場合は、特定の取締役個人または取締役会全体の選任案に対して反対する。また、会社に詐欺や犯罪行為があった場合において、監督権限を有する代表取締役と直接関わる部署の取締役が辞任をしていない場合には反対を検討する。 指名委員会等設置会社の社外取締役、監査等委員会設置会社の監査等委員である社外取締役、及び監査役設置会社で社外取締役が1/3に満たない場合における社外取締役の選任については、候補者の独立性を検討する。独立性の判断にあたっては、主要取引銀行、関係会社、取引関係を有する企業の出身者など、利害関係の有無を考慮する。また、取締役会への出席率が75%未満となる場合、原則として社外取締役の選任に反対する。
  4. 取締役会/監査役会

    株主意思の反映、経営監督機能の遂行が十分になされることがのぞまれる。2名以上の社外取締役を有しない取締役会構成となる場合、経営トップである取締役の選任に原則として反対する。また、TOPIX500指数の構成企業については、女性取締役が不在の取締役会構成となっている場合、経営トップである取締役の選任に原則として反対する。
  5. 監査役選任

    原則的に賛成する。但し、当該企業の役員であった者、主要取引銀行や出資比率の高い関連会社に勤務している者など、経営監督機能の遂行が懸念される利害関係がある場合には社外監査役としての選任に反対を検討する。また、取締役会、監査役会への出席率が75%未満となる場合、原則として社外監査役の選任に反対する。
  6. 役員報酬改定

    一般的に同業種他企業と比較して特に過大でない限り、役員報酬の引き上げには原則的に賛成する。 利益成長率に見合ったものかどうか、取締役の増加に見合ったものかどうかなどを検討する。業績に問題がある場合の引き上げについては慎重に検討する。
  7. 退職慰労金

    退任取締役や監査役への慰労金支払いとその金額を取締役会に一任することに原則賛成する。但し、取締役/監査役としての就任期間については3年以上を目安とし、就任期間における業績や株主利益を毀損する不祥事についても検討する。また、社外取締役、社外監査役に対する退職慰労金には原則反対する。 物故取締役や監査役の家族への見舞金も同様に判断する。
  8. 定款変更

    個別に精査をする。
    1)授権資本額引き上げ

    当該会社の財務柔軟性と希薄化効果による株主価値への影響とのバランスを考慮する。100%以上の増加や発行済み株式数が授権資本額の30%を下回るような大幅な引き上げは希薄化が懸念され、肯定的に判断できない。事業拡大以外を目的とする授権枠の引き上げにおいては、特に明確な説明を求め、株主価値の毀損の可能性の有無について検討する。
    2)事業内容の拡大

    新規事業への進出の判断は、取締役会に一任されるのが適当である。但し、業績が低迷する企業が事業を拡大する場合や、事業の拡大が結果的に株主価値の毀損を招く懸念がある場合には、詳細な説明を求め、その正当性を検討する。説明が十分でないと判断される場合はこれに反対する。
    3)総会特別決議の定足数緩和

    少数株主の権利が毀損される懸念から、明確な理由が示されない場合、原則反対する。
    4)取締役解任決議の厳格化

    会社法で普通決議となった取締役解任決議要件を特別決議に厳格化することにより、少数株主の意思反映を困難にすると判断される場合には反対する。
    5)取締役上限定数

    取締役員数上限の増員が提案された場合、事業拡大などにともなう必要性が認められる場合に賛成する。減員の場合には取締役会の効率的な運営が期待されることから原則賛成とするが、買収防衛策として認識される場合には個別に検討する。
    6)配当の取締役会一任

    配当の決定を取締役会に一任することにより、株主の権利が制限される懸念がある。株主総会を排除する場合には原則反対する。
    7)会計監査人の責任減免

    会計監査人の責任減免の提案については、不正会計を防ぐ業務遂行の機能を弱める懸念があることから原則反対とする。
  9. 資本構成

    種類株の発行などについては株主価値に資するものであるかを個々に精査する。
  10. 合併・買収/再編

    個別に精査をする。 資金調達方法、新経営組織及び日程など含む契約条項を勘案する。合併や買収においてはその妥当性を判断するに十分な情報開示がなされない場合には反対を検討する。株主利益を毀損しない限り、子会社再編は肯定的に判断する。
  11. ストックオプション

    業績や株価を意識した積極的な業務遂行が期待されることから肯定的に判断する。発行済み株式に対して希薄化が過大と判断される場合、行使価格や行使期間の設定が適切でない場合、行使価格の引き下げ(リプライシング)が可能な場合などについては、株主利益を毀損する懸念があることから反対する。適切な情報開示や正当な理由が示されない限り、監査役や社外者に対してストックオプションを与える提案には反対する。
  12. 自己株式取得

    原則的に賛成する。
  13. 決算期変更

    原則的に賛成する。
  14. 会計監査人選任

    適格性や監査方法に懸念がない限り、原則賛成する。
  15. 株式配当

    現金配当か株式配当かのいずれかを選択できる場合には賛成する。特に明確な理由が示されずに株式配当のみで現金配当の選択の余地がない場合には反対とする。
  16. 敵対的買収防衛策

    買収については経営者にとっての利益が株主のそれと必ずしも一致しない場合があることから、買収防衛策は原則として肯定的に判断できない。

    買収防衛策にはその導入理由の明確化と株主価値を向上させるための方策についての十分な説明が不可欠である。また、株主において判断機会が担保されているか、株主価値を毀損する希薄化の可能性がないかなどを個別に精査する必要がある。
  17. 株主提案

    株主提案が株主の利益に合致するかを個別に検討する。企業活動を過度に制約する提案や得られる利益に対して過大な費用を要する提案については、結果的に株主における代償が大きくなる恐れがあることから反対を検討する。また提案者のみの利益を追求するものにも反対をする。一方、情報の開示など、企業のコーポレートガバナンスを高める効果が期待され、長期的に株主の利益に合致する株主提案については支持を検討する。

議決権行使結果について

2023年8月21日

2023年4月から6月にかけて開催された株主総会における議決権行使結果

1. 会社提案議案に対する賛成・反対・棄権・白紙委任の議案件数

2. 株主提出議案に対する賛成・反対・棄権・白紙委任の議案件数

1.2の集計結果はこちら

3. 議決権行使結果の概況

2023年4月から6月にかけて開催された株主総会において、弊社の議決権行使ガイドラインに基づき、会社提案10,702議案、株主提案82議案について議決権行使を行いました。

そのうち、会社提案に反対した議案は394議案で反対比率は4%となりました。

個別議案の開示にあたっては、建設的な対話を推進する目的から会社提案に反対した議案、及び、株主提案に賛成した議案について、その行使理由を付しております。

尚、利益相反を懸念すべき議案はありませんでした。

今後とも引き続き、株主の長期的利益を最大化する観点から積極的に議決権行使に取り組んで参ります。