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新型コロナウイルスの感染拡大後のアジア株式市場の見通し


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新型コロナウイルスの感染拡大が世界的な混乱を引き起こしたにも関わらず、2020年ほとんどの株式市場が堅調に推移しました。アジア(除く日本)地域についても例外ではありません。

確かにアジア地域は新型コロナウイルスの感染拡大が始まるのが早く、現時点では、他地域に比べ感染拡大から早く抜け出したように見られます。多くの国において感染拡大を抑制することにも成功しており、その結果、その他の地域と比べ迅速に経済活動を再開している状況にあります。

 

明暗分かれる国とセクターのパフォーマンス

アジア株式市場は全体的に堅調に推移しましたが、地域やセクターによるパフォーマンスには大きな差がありました。

地域別では、感染拡大に成功したと言われる中国や韓国、台湾の株式市場は、インドやASEAN地域の株式市場のパフォーマンスを上回りました。

セクター別では、デジタルサービスや在宅勤務関連機器に対する強い需要を背景に、半導体サプライヤーやその他テクノロジー企業の株価が堅調に推移しました。その他”感染拡大の勝者”とされる電子商取引銘柄や、コミュニケーション銘柄も堅調に推移し、このような分野で事業展開している企業が多い中国や韓国、台湾株式市場が堅調に推移しました。一方で、エネルギーや金融といった伝統的に景気敏感とされるセクターが軟調に推移しました。これらのセクターは南アジアや東南アジアの株式市場に占める割合が高い傾向にあります。

2020年は時間の経過とともに、新型コロナウイルスのワクチンの開発や、政府や中央銀行による大規模な財政および金融支援策を背景に、経済回復に対する楽観的な見方が強まりました。これらの要素が引き続き2021年に入っても株式市場の下支えとなっていますが、経済成長への期待感を背景に長期金利が上昇しており、株式市場に影響を及ぼす可能性があります。

 

企業業績への期待は高いものの、達成可能な水準

株式市場が上昇した結果、少なくとも過去の収益と純資産に照らして評価すると、株価は長期平均と比べ若干割高な水準にあるとみています。このことは、企業業績の堅調な回復がすでに市場に織り込まれていることを示しています。

確かに、回復への確信度が高まり、新型コロナウイルスのワクチンが流通し始めるにつれ、企業の業績見通しは上方修正されています。

アジア(除く日本)地域については、市場予想の業績成長は今年は前年比+25%、来年は+15%となっています。

これらの数字は実現不能なものではないと考えますが、感染拡大の行方、特に各国がどのように変異種に対応できるかに大きく左右されるとみています。そのため、これらの業績予想は、依然通常より不透明感が高いと言えます。株価水準を勘案すると、市場予想を下回る結果となった場合、その影響は大きくなることが考えられます。

さらに、全体を見るだけでは限られた情報しか得られないという問題点もあります。2020年のように、市場間および市場内で大きな格差が生じる可能性があるとみています。

 

個人投資家の市場参加がバブルに寄与?

足元の数か月間、株式市場の上昇の下支えとなった要素として、個人投資家の参入が大幅に増加したことが挙げられます。特に、ビデオゲーム小売りチェーンのゲームストップ株騒動等、米国でこの動きが顕著にみられますが、アジアも例外ではありません。

この個人投資家の参入増加は、一部で見られている“バブル”な株価水準の要因となっている可能性があります。

これらの株価水準は極めて高い水準の成長予想がベースにあることから、センチメントの変化や金利上昇の影響を受けやすいと言えます。

一方で、銀行や不動産、資本財、公益事業等の株価水準が割安なセクターは、個人投資家の資金流入はまだ限定的であり、そのためその他セクターと比べると相対的に割安となっていると考えます。

 

機動的な銘柄選択の重要性

これらのことは、この地域における機動的な銘柄選択の重要性を示していると言えます。回復見通しが過小評価され、市場で見過ごされている銘柄群を発掘することが重要であると考えます。

同様に、現在の株価と本質的価値との差が限定的な銘柄については、これまで強いモメンタムの恩恵を享受してきたものの、この流れが急に逆転する可能性があることから、これらの銘柄を避ける必要もあると考えます。

これはセクターにも国にも言えることです。回復が広がるにつれ、南アジアや東南アジア等、出遅れている地域も遅れを取り戻すことができる可能性があるとみています。

また、中国は既に政策を引き締める方向へ動き出しており、政府や中央銀行による支援策と流動性は、既に順調に回復しつつある国々で早期に撤回され始める可能性があります。そのため、機動的な資産配分が非常に重要であると言えます。

このように、新型コロナウイルスの感染拡大後のアジア株式市場を展望すると、国やセクターによって差が際立ってきており、また投資家サイドの需給が偏っていることから、今後、機動的な銘柄選択がより重要になると考えられます。

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